第二話 某ハンバーガー店Mの元社長の息子
「…待ちくたびれましたよ、当夜君?」
中に入ると、それはもう機嫌悪いですみたいな顔をした高校生がいた。え?理事長なの?めっちゃ若いんですけど……。ちなみに俺はお姉さんみたいな感じを期待してました。すいません。
「えっ?あなたが理事長さん?」
「そうだけど、何かあるのかしら?」
「失礼ですけど、おいくつですか?」
つい、口に出ちゃったよ。どうしよう。怒られたら、零ちゃんに甘えようかな。
「レディーに歳を聞くなんて……。25だけど、何か不満でも?」
25歳!?めっちゃ高校生じゃないですか!
「すごくお若いですね?」
「褒めても何も出ないからね…?」
さすが25歳。上手くかわしやがったな。しかし、これまでこの学園内で、可愛い子しか見てないんだけど、wktkすぐる。
「まぁ、無駄話はここまで。あなたは晴れて、この学園の生徒になりました。はい、これ生徒手帳と専属メイド一覧、そして寮の部屋の鍵です」
「ありがとうございます。そういえば自己紹介遅れたんですけど、俺の名前は知ってたんですね」
「当たり前じゃない。私は理事長よ?」
すごい言葉だな、私は理事長って…。ていうか、専属メイド一覧って何だろうな、夜に電話で呼んだら来てくれるのかな?
「俺は、これからどうすればいいんですか?」
本当にやること、知らないんですけど。零ちゃん、教えてくれよ……。
「あら、九条から聞いてないの?なら、これから寮に行って部屋の整理をしてきなさい」
部屋の整理か…。アパートに置いてあったエロ本とか回収してくれたのかな?あれ、OL痴○モノとかあったのになぁ。
結構緊張しなかったな。これが歴戦の女の醸し出す雰囲気作りの上手さなんだな……。理事長の部屋から出て、クソ長い階段を降りながら考えていると、一人の男が周りをキョロキョロ見ながら歩いていた。
「ぼ、僕の部屋の鍵がない。どうしよう、ママに怒られる…。殺される……」
何やら物騒な事を言ってる、デブ男がいたので少し接触してみることにした。ママに殺されるってなんだよ。複雑すぎんだろ、家庭。
「おい、どうした?」
「か、鍵を。部屋の鍵をなくしちまったんだ。一緒に探してくれないか!?お礼にビッ○バーガーを100個やるから」
ビッ○バーガー100個だと…!?ま、まさかこいつは……。
「お、お前……某ハンバーガー店Mの元社長の息子だな!?」
「な、何故わかった!?」
「ふっ…。この世界で、ビッ○バーガーを基準に礼をしようとする奴なんて、M関係者以外考えられないのさ!」
き、決まった……!名推理がバッチリ決まってしまった…。これはこいつも驚いてるに違いない。
「あ!あった!これでママに怒られなくて済む!」
「……聞けよ!」
こ、こいつ!?俺の名推理をかわしやがった!?これが理事長と同じく、大きい器を持つ人間がすることなのか……?
「ごめん、ごめん。つい舞い上がっちゃって」
そういえば、寮の場所わかんねえな。……こいつを上手く利用すればいいのか。納得。
「それはいいんだけど、寮の場所がわからないんだが、教えてくれないか?」
「お安い御用さ。僕のスピードについてこれるならね!」
な、何!?こいつ、急に走り始めやがった。ていうか足、速!?こいつ、謎すぎる。
途中心臓が止まりそうになったが何とか、動けるデブについていくと高級ビルの前でデブの足が止まった。
「どうした、トイレか?」
「え?ここが寮だけど?」
「えぇ!?これが寮!?」
目の前に広がる光景は、まさにリゾート地だった。プールが屋上にあり、周りになんかすごい建物が何軒か建っていた。俺には不釣り合いすぎるんだけど。妹にプレゼントしようかな。好感度を上げる作戦は思春期の妹には効きそうにないです。
「さぁ、行こうよ」
何かゲームみたいなことを言い始めたデブと共に、俺はでっかい高級ビル(学生寮)の中に足を運んだ。