第一話 庶民と金持ちの差
俺、金持ちになりました。ママンにメールだけ送っておいて、車で目的地に到着するのを待っていた。
しかし、目的地が分からないのが怖いので一応聞いてみた。
「なぁ、零ちゃん。これってどこに向かっているのかな?」
「零ちゃんではなく零でいいです。今は、とりあえず学園に向かっていただいています」
そういえば、金持ち用の学園があるんだよな…。考えていると、嫌な妄想がどんどん膨らんでいった。
例えば、「お前の家、母さんスーパーで働いてんだな!ははは……。で、スーパーって何?」ってス○夫みたいな奴に言われたりとか、「何だよ、そのダサい文房具。戦前かよw」とか、絶対に言われるじゃん……。
「金持ち用の学校って、クズみたいな奴、絶対いるよな…。零ちゃん」
「だから、零と呼んでも……」
困る零ちゃん可愛すぐる。ぎゅっと抱きしめた後にベッドに連れて行きたいんですけど。
そんな、バカなことを考えていると、目の前に巨大な建造物が現れた。
「当夜様、これが、これから挨拶に行ってもらう学園、大橋学園です」
「でけぇ……」
小学生並みのリアクションしかできなかったが、本当にデカい。どれくらいデカいかって言うと、俺の器ぐらい。ごめん、嘘。
しかし、緊張してきたなぁ。こんな高級感出てるところ、初めて来たんだけど。
「何故、緊張しているのですか?」
え!?バ、バレてるゥ!?そんな、わかりやすいかな、俺って…。何か怖いんだけど。
「な、なんかこんな高級感溢れるところ来たことないなぁと思って…」
「まぁ、仕方がないです。これが庶民と金持ちの差ですよ」
いやん、毒舌!ちょっと、勃ってきちゃったよ、どうしよ……。
体が異常をきたしている状態のなか、車はフロントの様なところの外に停車した。
「着きました。では、理事長様に挨拶に行きましょう」
降りたくないなぁ、フルボッ○なんだけど……
「どうされました、中腰になってますけど」
「あんたのせいだよ!」
フロントは、やはり豪華でした。
普段生きてて見られないであろう、これでもかと電飾を施したシャンデリアや、何か高そうな花とか…うん。
まぁ、俺にはよくわからないけど凄かった。
「この階段を登れば、理事長室がありますので、そこのドアを開けて、理事長に挨拶をしてください」
「え!零ちゃんこないの?」
「はい。私も先生方に挨拶に行かなければいけないので」
やば、無理ですやん。緊張するし、何か無理ですやん。
まぁ、駄々をこねてもダメなので、階段を登ることにした。ていうか、理事長ってどんな人なんだろうな?
いい人だったらいいんだけどな、優しくて、俺の想像では女の人。かわいい、かわいい女の人。
なんか一段一段を登るたびに足に重みがのしかかってきたんだけど…。っていうか階段長くね!?豪華とか関係ないだろこれ。
長すぎる階段を登り切ると、奥の方にドアか見えた。いよいよ、挨拶のときが来た。
俺は、逃げようと思いながらも、気持ちを抑えて、重たいドアをゆっくりと開けた。