緊張と被害妄想
今日は、入学式
だから、少しだけど緊張している・・・
まだ、学校に行くまで時間はある。
だって、今日が入学式だと緊張していつもより・・・いや、時計にセットしてある時間より早く起きてしまったから
私は、そんなに緊張するようなタイプではないけれど、一度緊張してしまうとその緊張は中々溶けてはくれないので困ったものだ
そんなことを考えながら、私は食事を終え皿を片付けるべく台所へと汚れた皿を持って行く
ザー、ガチャガチャ、ザー
皿お洗いながらも、学校の事を考えると少し憂鬱になる
キュッキュッ
命「はぁ・・・」
皿を洗い終えると少しだけため息をついてしまった
「・・・どうしたの?姉さん」
私のため息を聞いていたのか、弟の朔夜さくやが心配そうに聞いてきた
命「うーん、ちょっとね?」
私は、あまり心配させないように言ったが
朔夜「姉さんがそういう時って、緊張してる時だよね。」
・・・読まれていたようです。
命「あはは・・・」
朔夜「で、どうなの?」
命「その通りです・・・」
朔夜「学校?」
命「うん」
朔夜「はぁ・・・」
朔夜は、少し呆れたように
朔夜「緊張しなくたって大丈夫だよ、姉さんは自信持って行けばいいんだよ」
でも、優しく包み込むように言ってくれた。
命「朔夜・・・うん、ありがと。頑張るね」
私が自信がない時はいつも朔夜が自信をつけてくれたよね・・・
朔夜「うん、頑張ってね。あ、もう出たほうがいいんじゃない?」
朔夜は、そう言って時計を指さした。
時計の針は、7時50分を指していた。
命「そうだね、じゃあもう行こっかな?」
朔夜「うん、いってらっしゃい。気をつけてね?」
命「わかってるよ、いってきます。」
私は、ブレザーを羽織って鞄を持ち、朔夜に挨拶してからリビングの扉を閉めた。
バタン
玄関で、一応持ち物の確認をして
命「忘れ物は・・・ない、ね。よし」
もう一度、今度は家に
命「いってきます」
挨拶をして、家を出た
ガチャ バタン
ガチャ バタン
スッと顔を上げると、前の家から制服を着た男の子が出てきた。
あれは、私と同じ制服だ。あ、そういえば・・・昨日加賀かがさんが「息子も明日入学式なのよ~」と言っていた。あれが、加賀さんの息子さんかな・・・
そんなことを考えながら、家の門から出ると同じく玄関から出てきた男の子がこちらに気づいたようで、下げていた頭を上げ、目線を私に合わせた。
私は、少し驚いたけれど
命「おはようございます」
ちゃんと笑顔で挨拶をし小さく会釈をした
「・・・おはようございます」
と向こうから挨拶が返ってきた
私は、少し重い空気から逃れるためにそそくさと学校へ足を向け歩き出した。
私の彼への第一印象は、少し怖い人、だ。
整った顔立ちに、背筋がピンと伸びた姿勢、何一つ変わることのない表情(つまり、無表情)。
いや、別に変な人だなぁ、とか思ってるわけじゃないけどね。
なんか、さっきから後ろから視線を感じる・・・
いや、大体想像がつくんだけどね?同じ学校だろうから、偶然私の後ろを歩くことになってるだけで向こうは私のことなんか、眼中にもないだりうけど、偶然私のことを後ろから付けているような感じになっているだけ、そうだ、そうに決まってる、これは少し被害妄想をしてしまっているだけ・・・だから、あの男の子は私を見ていない、そう気のせいに決まってる、落ち着け私。
「あ、あの・・・」