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お近づきになりましょう的なお話

【田崎光の場合】


お見合い後に気がついたが、婚約者の藤宮さんとは、同じ高校に通っていた。友人に聞いたら彼女は学年主席で、男女ともに好かれるような人物らしい。

そんな、素晴らしい女性が今の俺を選ぶはずが無かったので安心していたら、彼女がお昼を一緒にどうかと誘いにきた。

俺はもちろん断ろうとしたが、気を遣った友人が俺を見捨てて行ってしまった。


ここで断ったら逆に目立ってしまうため、俺は仕方なく了承した。

彼女は俺の分までお弁当を持ってきてくれいたので、目立たない場所を考えた末、俺の所属しているマイコン部の部室へと行くことにした。


藤宮さんは部室へと行くと興味深そうに色々質問してくるので、無愛想にして質問だけに答えた。


藤宮さんが持ってきてくれたお弁当は、自分の作ったものではなく、家の料理人が作ってくれたもので、俺の好きなものを事前に確認してくれていたようで、好きなものばかりだった。


「私、婚約は田崎さんから、断られると思っていました。」


そう言って複雑そうな顔で笑う彼女にものすごく申し訳ない気持ちになった。


「俺は、藤宮さんが断ると思ってましたよ。藤宮さんなら、もっと良い男を探した方が良いとおもうよ。

ほら、俺、あの部屋見ての通りのオタクだし。藤宮さんみたいな人から見たら、引くでしょ?」


「そんなことありません!!オタクの何が悪いんですか?!」


藤宮さんがいきなり強い口調で主張するから、俺は驚いてしまった。

こんな人間にも分け隔てなく接してくれる藤宮さんは、本当に良い子だなと思った。


可愛く小首を傾げて、

「今度また遊びに行って良いですか?」

と聞かれて、思わず首を縦に振ってしまった。


昼食が終わって藤宮さんと別れて教室に戻ると、悪友達がニヤニヤと笑っている。


「いいなあ、藤宮さんとお昼食べるなんて、羨ましい。」


「お前ら、二次元以外の女に興味あったんだ。」


「普通にあるよ!でも、光、あんまり藤宮さんに興味なさそうだよな。」


「だって俺、女怖いもん。」



【藤宮椿の場合】


婚約者の田崎くんとは同じ学校に通っていることが判明した。

田崎くんと仲良くなって、友情を築き、婚約なんてまだ早いと両親を一緒に説得するという目的を達成するために、田崎くんに学校で近づくことにした。


田崎くんのお母様とはこっそりLINEのIDを交換し、交流している。

田崎くんのお母様は、あんな田崎くんと仲良くしようと努力する私をものすごく気に入ってくれて、すぐにでも結婚してくれて良いと言ってくれているが、田崎くんにも選ぶ権利があると思っているし、私も友情を築くことが最終目標なため、

「ゆっくり、光さんと仲良くなっていきたいんです。」

とごまかしておいた。


田崎くんの好きなものを、家の料理人に頼んでお弁当にしてもらい、私は田崎くんとお昼ご飯を一緒に食べて仲良くなる作戦に出た。


田崎くんのいる教室へ向かうと、彼の友達が気を遣ってくれたこともあり、お昼を一緒に食べることができた。

人目に付くのが嫌なのか、田崎くんの所属するマイコン部の部室へと案内された。私は田崎くんがしているというマイコンカーラリーのことはさっぱりだったが、興味津々で質問ばかりしてしまった。


自分が調子に乗って話した後に、相手に喋らせるというのが円滑なコミュニケーションの第一歩だということに気がつき落ち込んでしまった。

それでもなんとか気を取り直して、また田崎くんの家に遊びに行くという約束をとりつけた。


お昼を食べた後教室に戻ると、親友の亜美が「どうだった?」と聞いてきたので、「バッチリ!!」と返したら、「ボロを出さないようにね」と不吉な予言をされてしまった。

亜美とは小学校からの腐れ縁で、今世では前世を反省して勉強に勤しんでいる私だったが、亜美の家にった時だけ前世の私に戻って、ゲームをしたり漫画を読んだりとダラダラ過ごしている。

「今度、田崎くんの家に行くことになった。」と告げると、「しゃべらなければ美人だから、必要以上に話さないこと!」と言われた。何気に酷い言葉をくれる友人に感謝した。

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