退院と真心。
今日。退院の日を迎えた。
まだ、骨折の治療のためにギプスやら何やらつけてなければならないが、病院から出られるというのは嬉しい。
さすがに退院の日は両親も来てくれ、一緒に家で夕飯を食べた。
翌日。
退院翌日から僕は学校に復帰した。
目立つのは嫌だったので、極力目立つ要素を減らすために、朝は一緒に登校するなとリイナにはメールしたのだが、不安だ…
しかし、リイナは結局ついて来なかったので、安心した。あのバカも成長したってことだ。
「おはよー、東海林くん。」
クラスの一人が声をかけて来た。
かなりガタイのいい男子生徒だ。
えと、誰だっけ。
「あ、俺のことわかんね?
俺、大沢 俊吾。よろしくな!
シュンゴって呼んでくれ!」
よろしくと言われましても。
僕はあなたと関わるつもりはないんですが。
まあ、そんな態度をして殴られでもしたらたまらないので、
「あ、うん。よろしく…」
と答えておいた。
「なんか困ったことあったら、何でも力になってやるからな。」
怪我してる俺に対する同情か…
これだから人間は…
「あ、でも。」
俊吾がつけたした。
「リイナちゃんに変なことしたら、コロスからな。」
ははーん。こいつもリイナが好きなんだな。
てか、やめてください、恐ろしい目で睨むのは。その視線だけで殺されそうです…
「ま、コロシはしないけど。これからよろしく!」
彼に握手を求められた。
ま、これから困ることも出てくるだろう。
骨折が完治するまでは頼りにしよう。
そう思い、僕は彼の手を握った。
シュンゴはとても優しくしてくれた。
重いバッグを運んでくれたり、給食を持って来てくれたりと。
また、デートがちであまり一緒に帰れないショーの代わりに、と僕やリイナと一緒に帰ってくれた。正直、リイナは暴走しがちなので、ストッパーがいるのは助かる。まあ、彼には別の思惑があるのだろうが…
だって、必ず僕とリイナの間に入ってくるし、帰る時に限って僕のこと睨むし…
シュンゴと話しているうちに、シュンゴもかつて柔道で大きな骨折をしたという過去を知った。その時にシュンゴを助けてくれた友人がいたらしく、シュンゴ自身も困った人がいたら助けたい、と思うようになったらしい。
案外、人っていいのかもな、と思ったりした。




