91話 天使と悪魔
《戦闘開始!》
とレティアが言うと、天真は僕に言った。
「始めから本気でいくぞ‼覚悟しろ‼」
すると天真の身体中に荒々しい風が吹き始め、天真は天神状態となった。
「ゼウスの力を知れ‼」
と天真は言い、僕に向かって突風で強化されたパンチを放った。が、僕は天真のパンチを受け止めた。
「バカな⁉天神状態のパンチを受け止めただと⁉」
と天真は混乱していた。なぜ、天真のパンチを受け止められたのかと言うと、僕は鬼神状態になったからである。しかも、ただの鬼神状態ではない。今まで以上に強い最強の鬼神状態だった。
「天真、お前はもう俺には勝てない!」
と僕は言うと、天真を手のひらで弾き飛ばした。
「ぐあ‼」
と天真は言い、ホテルの壁にめり込んだ。僕は天真を悪魔の邪眼の重力の力で引き寄せ、また殴り飛ばした。天真は床に倒れ込んだ。
「もう、お前に勝ち目はない。諦めろ」
と僕は言うと、天真は起き上がり言った。
「まだだ!俺はてめぇ何かより劣っていねぇ‼」
「諦めろ‼」
と僕は言い、天真に向かって走り出した。
「死ねぇ‼」
と天真は言い、僕に向かって走り出した。
そして両者、強烈な一撃がぶつかり合った。空気がビリビリ鳴った。すると、ドサッと音を立て、膝をついたのは武沢天真だった。
《勝敗が決まりました》
とレティアの声が聞こえた。
《まず、敗者の天使の継承者 武沢天真を天魔の門に封印しま…》
とレティアが話しているとき、鬼神化と悪魔化が解けた僕は言った。
「天魔の門には封印しないでくれ!そもそも罰なんていらないよ!」
《それはいけません。古の昔から創られた掟なのです》
「だったら、俺の願いは天真を無事にすることに変更する‼」
と僕は言うと、黒鳥が言った。
「何を言ってるんですか隼人さん‼そいつは狩武と手を組んで、世界を支配しようとしている悪人ですよ⁉」
「天使と悪魔の戦いには、敗者に勝負をする資格は無くなる。罰を克服しない限りな」
「でも、狩武の消滅という願いはどうするんですか⁉」
と黒鳥は聞くと、僕は答えた。
「んなの、倒せばいいじゃねぇか」
すると天真が僕に言った。
「同情か…?愚かしいな…」
「別に同情なんかじゃねぇ。ただ、天魔の門に行けば、間違いなく脱出不可能になる。天真、お前はまだ俺と同じ中学生で、まだ若く未来がある。だから…」
「フン…負けたよ。お前ら正義の悪魔にはな。今までいろいろすまなかった…。数々の非礼…許してくれ…」
「あぁ…」
《武沢天真の封印を中止しました。しかし、松田隼人の願いはまだ叶えていません》
そのとき、僕はちんぷんかんぷんになった。
「?どういうことだ?レティア」
《武沢天真の封印を中止したのは、ワタクシの意思です。松田隼人の願いとは全く関係ありません》
「マジか‼」
と他の皆は言った。
「隼人!願いを言おう!」
と真司は言うと、僕はレティアに言った。
「松田狩武の消滅を願います‼」
《承知しました》
とレティアは言うと、レティアの声は聞こえなくなった。
「終わったな、隼人…」
とマースさんが僕に言ってきた。
「はい…」
と僕は返事を返すと、天使の四人組が僕たちに言ってきた。
「今まで本当にすまなかった…」
と頭を下げてきたのだ。
「ハッハッハー、許しません」
と真司は言った。
「おい、真司!」
と僕は言うと、真司は天使の四人組に言った。
「罰として、友達になってください」
「友達に…?」
と天真は真司に聞いた。
「そうだよ!友達になろうよ!」
と僕も天真に言うと、天真は笑って返事を返した。
「あぁ‼」
すると、レティアの声が聞こえた。
《申し訳ありません》
「え?どうしたの?」
と僕はレティアに聞いた。
《松田狩武の力はもはやワタクシを上回っていて、とても消滅できませんでした。ワタクシの力の少しを狩武に奪われてしまい、狩武はもはや無敵となっています。今、狩武はあなたたちを探しています。気をつけて下さい」
とレティアは言うと、レティアの声は聞こえなくなった。僕たちは窓のカーテンを開けた。空は雷雲が広がっていて、天使のような翼と悪魔のような翼を生やした男が浮いていた。狩武だ。狩武が空から僕たちを探していたのだ。
狩武は怒鳴った。
「天真め…、裏切りやがったな…。どこだ‼どこにいる武沢天真‼松田隼人‼貴様らは八つ裂きにしてくれる‼」