90話 現れた悪魔の若人
一方、ホテルの総理大臣の部屋前では、天真が天神状態になり、右手に宿した雷を真司たちに放とうとしていた。
「消えてなくなれ」
と天真は言うと、雷撃を真司たちに放った。
「くそっ‼ここまでか‼」
とマースさんは言い、目を閉じた。が、何も起こらなかった。マースさんは目を開けた。するとマースさんの目の前には、雷撃を左手で粉砕した僕がいた。
「またせたな、マース」
「悪魔化した隼人なのか…⁉だが、悪魔の継承は奪われたんじゃなかったのか⁉それに殺気が普段の悪魔化よりすごい…」
とマースさんが僕に言ったとき、天真が僕に言ってきた。
「ほう…見間違えたぞ、松田隼人。俺の雷撃を粉砕するとはな…。一体どこでこんな短時間で急成長した?」
「その質問に答える必要はない。お前はここで倒す」
「ずいぶん強気だな、松田隼人。確かにお前は強くなった。だが、俺には劣る」
「果たして、その言葉は本当か?」
と僕は言い、天真に向かって走り出した。
「正面から突っ込んでくるとは…。浅はかな」
と天真は言い、カウンターを仕掛けようとしたが、僕は天真の目の前で、高速で走り出し、天真の背後に移動した。僕は天真を殴る直前に言った。
「後ろがガラ空きだぜ?」
と言うと、天真は壁に殴り飛ばされた。
「どうした?さっきまでのお前は強敵に見えたが、今のお前はまるで珍獣だな」
「クソが‼もう天使と悪魔の戦争は終わったはずだ‼貴様には戦いを挑む権利はない‼」
と天真は言い、僕に攻撃を仕掛けた。
「ああ。もう天使と悪魔の戦いは終わった。これは第二次天使と悪魔の戦いだ‼」
と僕は言い、天真のパンチを避けた。すると、レティアの声が聞こえた。
《これより、第二次天使と悪魔の戦争を開戦いたします》
「なんだと⁉何故だ⁉松田隼人は敗者になり、戦いの権利はないのではないのか⁉」
と天真はレティアに聞いた。
《天使と悪魔共通条約 第八条。戦いの敗者に与えられた罰を克服した者には戦いの権利を与える。松田隼人は天魔の門から脱出し、見事、罰を克服しました。戦いの権利は充分にあります》
「ちぃ…‼」
と天真は舌打ちした。すると聖弥が天真に言った。
「なぁに、勝てばいいんだよ天真。四人が一人ずつ戦うのは面倒くさいから、天真と松田隼人の戦いだけでいいんじゃないか?レティア」
《いいでしょう。では天使の継承者 武沢天真。願いを言いなさい》
すると天真は答えた。
「松田隼人の消滅!それだけだ」
《では、悪魔の継承者 松田隼人。願いを言いなさい》
「……松田狩武を消滅してください」
すると、レティアは言った。
《承知しました。では天使の継承者 武沢天真対悪魔の継承者 松田隼人、戦闘開始!》