89話 初代悪魔王との契約
「悪魔の継承覚醒術…?」
と僕は魔術師に聞いた。しかし、魔術師は応答せず、腕輪を光らせた。
「ルシファーデーモンよ…長い年月を懸け…今やっと…真の継承者が現れたぞ…。さぁ、目覚めるのだ。この若き人間に力を…継承する力を…与えたまえ!」
と魔術師は言うと、悪魔の継承は黒く輝いた。
「なんだ!?」
と僕は言ったとき、僕はいつの間にか誰もいない空間にいた。
「また変な場所に飛ばされたのか…?ってかなんだ…ここ?」
「ここは我が創りだした空間だ」
「我…?」
僕の目の前には悪魔がいた。
「我が名は初代悪魔王、ルシファーデーモン。お前が本当に真の継承者であるのかを今から見極める」
「見極めるって…どうやって…?」
「お前…人間のクセに素直に話を受け入れられんのか…?」
「何回も悪魔界や異空間を移動してきたんだ。なんかそんなに驚かなくなったよ…」
「フッ…まあいい。まず、俺の質問に答えろ」
「よし、いいだろう」
と僕は言ったとき、ルシファーは質問した。
「お前は悪魔の継承を完全覚醒させて一体なにをしたい?」
その質問をされた僕は頭の中でみんなの姿を想像した。
「……大切な人たちを、守りたいだけだ」
「クフフ…グハハハハハハ!!」
とルシファーはいきなり笑い出した。
「なんだよ!?何がおかしい!?」
「いや、悪いな。実はうれしい。まさか、人間にもまだあいつみたいな奴がいとはな…!!」
「あいつ…?あの最強の魔術師っていう人のことか…?」
「そうだ。あいつはお前と同じで、この我の力を仲間を守るためだけに使った。今まで俺は腕輪の中からお前を見ていたが、お前は信用できる…。最初の質問はクリアだ」
「よし!次行こうぜ次!」
「今、お前の敵となっているのはお前の実の兄だが、お前は本当に兄を殺せるのか…?」
僕はしばらく下を向いた。そんな僕にルシファーは言った。
「殺せないか…?」
「いや、殺せるか殺せないかの問題じゃない。殺さなきゃいけないんだ。兄さんは今、世界を支配しようとしている。なら、俺は兄さんの野望を止める。それが、兄さんの命を奪うことになったとしても…」
それを聞いたルシファーは僕を見て言った。
「気に入ったぞ。若き人間、松田隼人。いいだろう、我のすべての力をお前に捧げてやる。人間と悪魔王の何万年ぶりの契約だ。我は全力でお前に力を貸してやろう。そのかわり、お前は全力で戦え!わかったな!?」
「わかったぜ!ってかこれまでも全力だし?」
「さぁ行け!勝ってこい!松田隼人!せいぜい兄さんを殺す前にお前が殺されるなよ!!」
とルシファーは言うと、僕はついに人間界に転送された。