8話 人間という名の悪魔
僕たちは悪魔の討伐に出かけていた。
この前とは違い、僕には悪魔武器がある。
今度こそ悪魔を倒してみせると決意していた。
しかし悪魔なんてそうそう会えないのでは……?
と思っていた直後、空から黒い影が近づいてきた。
間違いない……あれは……。
「このネロス様に会ったのが運の尽き!お前らは終わりだぁ!」
と黒刀を持つ悪魔 ネロスが叫んだ。
やはりこいつか……。
マースさんが前に出た。
「まだ悪魔武器を使いこなせない隼人が戦うのは危険だ。ここは俺に任せろ。」
と言いながら黒い剣を引き抜いた。
そしてマースさんは高々に「さぁ、来い!」と言う。
僕はマースさんのサポートということで、マースさんの後ろについた。
……とは言っても僕の武器は剣とか銃とかではなく、悪魔の継承という骨の腕輪だ。
ネロスはマースさんに指を指して言った。
「悪いが今回は本気を出させてもらう。
この前、たかが人間に逃げられたのが許せないからな。ここでケリを付けてやる。」
マースさんは笑って返事をする。
「ああ、来いよ。」
笑っていいんですか!?
まぁ…確かにかっこいいけど…。と思う僕だった。
ネロスは黒刀を振り上げマースさんに襲い掛かった。
マースさんも反撃する。
こんな戦い僕の出る幕がない!…でもすごい!
と思っていたらマースさんが「ぐあっ!!」と低い声を出して吹っ飛んでいる姿が見えた。
でも、あのマースさんが負けるわけがない!
僕はマースさんが起き上がるのを待った。
………………………………。
起き上がってこない…。
僕は遠くからマースさんの顔を見た。
間違いない……気絶している…。
ということは負けちゃったー!?うそぉぉぉぉぉぉぉ!?
今度こそ終わった…。
と約2秒思ったが、僕には悪魔武器があることを思い出した。
ネロスが倒れたマースさんに近づきながらこう言った。
「さぁ~て、グサッといきますか。」
ネロスは黒刀を縦に持って近づいてくる。
僕はマースさんに危機が迫るたびに腕にしびれを感じた。
と思ったら腕輪が激しく揺れていた。
そのとき悪魔の継承が黒く光った。
腕輪から黒いウイルスみたいなものが体内に入っていき、
腕輪をつけていた左腕がまるで悪魔の腕になっていた。
「なんだこりゃあ!!」
と声が自然に出てしまう。
僕の左腕は漆黒の逆鱗で覆われていて、爪は黒く鋭く伸びている。
さらに黒いウイルスは広がり、左腕から左肩、左目までも悪魔化している。
「なんだ…お前…!?」
とさすがの悪魔もこの演出にはビビっていた。
左肩から黒い無数のトゲが生えていて、左目は黒く、朱い瞳をしている。
これ、僕?
と思ってしまうほどだった。
ついに頭の半分が悪魔化し、髪半分は白くなっている。
そこで悪魔化が止まった。
結果、
悪魔化した肌は逆鱗で覆われ、髪は白銀、瞳は朱い。
これなら悪魔と戦えそうだ。
と思った瞬間、僕は意識を失った。
意識を失った僕は歩き出した。
そしてこう言う…。
「てめぇの命はここまでだ…。」と。