77話 三人目の小悪魔
ピエーヌが警備員に向かって殴りかかった。
が、
警備員はまたひょいっとピエーヌのパンチを避け、ピエーヌに向かって傘の先から光線を飛ばした。
その光線は見事に命中し、ピエーヌは階段から一階に転がり落ちた。
「くそう!!たかが人間に!!」
とピエーヌは怒り、おでこの模様が♣に変わると、ピエーヌの口から突風が警備員に向かって飛んでいった。
「風で斬り刻んでやる!!」
とピエーヌは言ったとき、警備員は傘で風を防いだ。
「なにッ!?あの傘はビクともしないのか!?」
とピエーヌは言うと、狩武が答えた。
「よく見ろ、あの傘は鋼鉄製だ。風ごときで斬れはしない」
「鋼鉄製…なるほど、ワタクシの風だけではなく電撃まで防ぐことができる訳ですね…」
とピエーヌは落ち着き、警備員に聞いた。
「貴様、悪魔武器を使いこなすとは…名はなんという…?」
警備員は答えた。
「我には名は無い。幼少の頃から親に捨てられ、家も家族も友も名前も無かった。しかし7年前、一人の小悪魔が我を絶望から救ってくれたのだ」
「救った?一体誰です…?」
とピエーヌはさらに聞くと、警備員は答えた。
「魔神に選ばれし三悪魔の一人、裏切られし小悪魔 デリットだ」
すると、ピエーヌはいきなり笑い出した。
「クハハッ!!デリットとは…懐かしい…。だが、彼は13年前、つまり貴様とデリットが出会う以前にデリットはワタクシに戦いを挑み敗北し、ワタクシが八つ裂きにしたはずですが…?」
そのとき、
どこからともなく声が聞こえてきた。
「ピエーヌよ…愚かなり…。俺の死んだ偽装にまんまと騙されるとは…」
ピエーヌは驚いた表情で言った。
「まさか、あれは偽装してたのか…!?ウソだ!!確かにワタクシが電撃で突き刺したはず…!!」
そのとき、
空間を破ってデリットが現れた。
「だが、現に俺は生きている」
「この小悪魔め…!!許さん…!!殺してやる!!!」
とピエーヌは怒り、突風をデリットに飛ばした。
しかし、
デリットもピエーヌと同じ威力の突風を飛ばした。
二つの突風はぶつかり合い、破裂した。
「俺の能力を忘れたのかい…?」
とデリットはピエーヌに聞いた。
「そうでした…あなたの能力は技鏡でしたね…。相手の技をそのままコピー、または相手より威力を高い状態でコピーするやっかいな能力でした…」
「よく覚えてるじゃないか…」
とデリットは言うと、ピエーヌは聞いた。
「何故だ!?何故お前は魔神に選ばれし三悪魔の中でも一番、強欲なのに総理大臣の護衛をするのです?」
とピエーヌは言うと、デリットは答えた。
「俺が守っているのは天皇陛下じゃない。この亡霊の番傘の使い手、村川漢頭だ」