74話 受け継ぐ覚悟
いきなりだが僕は黒い箱を使い、悪魔界に行った。
目的はわかるだろう。
ボロイ病院に行き、もう片方の悪魔の邪眼をGETするためだ。
僕以外の人たち、真司やマースさんは自宅に帰って行った。
黒鳥は長野まで行くのに面倒なので、僕の家に寝泊まりするらしいが…。
僕はボロイ病院の場所はわかっていた。
なぜなら一度、ゼルキルムをボロイ病院に連れて行ったからだ。
僕はその記憶を頼りに悪魔界の住宅街を歩いていた。
そして、
一つのおんぼろな病院が見えた。
「やっぱりあの病院か…」
と僕はひとり言を言い、その病院に入って行った。
「あの~、すいません…誰かいますか~…?」
と僕は恐る恐る言ってみた。
何度も悪魔界に行っているが、よほどのことがない限り慣れない場所だ。
今でも心臓がバクバクいっていて、悪魔の邪眼の重力の力を使っていなくても寿命が縮みそうだ。
そんなとき、
ある顔面崩壊の悪魔が現れた。
「あっ、久しぶりです…!!」
と僕はその悪魔に以前、会ったことがあるので、僕は言ったが、
「はて…?どこかでお会いしたかいの…?」
とその悪魔の記憶の中には完全に僕のことはなかった。
それは置いといて、
僕はその顔面崩壊の悪魔に言った。
「悪魔の邪眼ってここにありますか…!?」
そう聞くと、悪魔は答えた。
「あぁ、片方だけならあるぞ…。そんなもの何に使うんじゃ…?」
とその悪魔は聞いてきた。
「ある男を倒すためです…。もう片方はもうこの左眼に移植しました。あと、その右眼だけなんです…」
と僕は悪魔に言った。
「そうか…お前がその眼を持っているとすると…お前が…松田隼人か…?」
と悪魔は僕に聞いてきた。
「俺を知ってるんですか…!?」
「あぁ、少しはな、8年前…お前の父親がこの病院に来たとき言ったんだ…。ここに俺の右眼を置いて行く。いつか俺の息子がその右眼を取りに来るから、そのときは素直に渡してくれってな…」
と悪魔は僕に言った。
2か月ぐらい前に会った僕のことは覚えてなくて、8年前のことは覚えてんのかよ!!
と思った僕だった。
「父さんはそんな前から移植することを計画していたのか…」
と僕はつい言ってしまった。
顔面崩壊の悪魔は言った。
「わかった、移植しよう。だが、その前に知っておくことがある…」
「知っておくこと…?」
と僕は聞いた。
「悪魔の邪眼は代々、受け継がれる遺品のようなものじゃ…。もともとその邪眼は、悪魔の創造主 エルザー・デーモンという魔神の眼なのじゃ…。エルザーは息子に右眼を、そして悪魔と契約した一人の人間に左眼を与えた。その人間というのが、松田家の先祖 松田勇人じゃ。そしてエルザーの息子というのが初代悪魔王 ルシファーデーモンだった。ルシファーにも息子がいた。それがサタンデーモンじゃった。普通はサタンデーモンに悪魔の邪眼が受け継がれるはずだったのじゃが、ルシファーはサタンの悪心に気付き、二代目悪魔王となったデスターヌに眼を与えた」
と悪魔は僕に言った。
「だから造られし悪魔になった悪魔王は重力が使えたのか…」
と僕は納得した。
悪魔は話し続けた。
「しかし、寿命が近づいてきたデスターヌは、片方を受け継いだ松田直人にもう片方を渡した。そしてその眼を松田直人はお前に受け継いでもらうためにここに残した。つまり、今からお前はたくさんの者たちの意思を継ぐのじゃ。覚悟はできておるな?」
と悪魔は僕に言ってきた。
僕は質問に答えた。
「覚悟ならあります!!移植をお願いします!!」
悪魔は僕に言った。
「うむ。良い眼じゃ…!!」