73話 受け継がれた眼
「生き返らせる…!?そう言ったのか…!?」
と僕は父さんに聞いた。
「あぁ、それ相応のリスクがあるがな…」
と父さんは真司の腹を触って言った。
「今、真司の内臓はゴチャゴチャになっている。それを俺の中にある全パワーを使い、重力で内臓を元の形に戻す。そして空気を動かし真司の心臓の中に積み込む。そうすれば真司の心臓は再び起動する」
と父さんは言い、パワーを集中させた。
「そんなこと…本当にできんのかよ…?」
とマースさんは信じられないような顔で言った。
「………」と僕は無言で父さんを見ていた。
そのころ、
狩武と朱希羅の戦いは、朱希羅が絶体絶命になっていた。
しかし、狩武は攻撃を止め、朱希羅に言った。
「お前と戦っても時間の無駄だ…お前の相手はまた今度だ…」
そう言うと、狩武は黒い稲妻とともに消えた。
それはピエーヌや天使たちも同じでみんな退散してしまった。
「あらら…時間がありませんね…これで失礼します」
とピエーヌは言い、クルクル回って消えてしまった。
ゼルキルムと戦っていた天使たちも光と共に消えた。
「ちくしょう…!!逃がしたか…!!」
とゼルキルムは工場跡地で独りぼっちになってしまった。
そのころ、
病院では真司の身体がもぞもぞ動き出した。
きっと内臓が動いているのだろう…。考えて見るとけっこうグロイ。
2分ぐらいしてから父さんは椅子に座って言った。
「ハァ…、ハァ…。よし…、これで…内臓は元に戻っただろう…」
「そんなに体力使うのか…?」
と僕は父さんに聞いてみた。
「ハンパないぞ…。内臓を1ミリでもずらしたら…ゲホゲホッ……ダメになる。…それに弾丸で貫かれた穴も…修復しなきゃいけないからな…。まぁ、あとは…心臓に空気を送り込むだけだがな…」
と父さんは言い、再び立ち上がり、今度は真司の胸を抑えた。
「隼人…よく聞け…」
と父さんは僕に言ってきた。
「ん?」
と僕は父さんの方を見て言うと、衝撃的なことを言ってきた。
「この重力の力を使うと寿命がだんだん短くなっていってな…。俺の命もあと数分と持たない…」
「なっ!?そんな…!!」
と僕は言い、父さんの方を見て言った。
「じゃあ止めろよ!!父さん…!!あなたが死んじゃう!!」
しかし、父さんは言い続けた。
「いや、もう死ぬのはとっくに覚悟していた…。いいか、俺が死んで、真司が生き返ったあと、俺のこの悪魔の邪眼をお前の眼に移植しろ…」
「んな…!?なんで移植なんか…!?」
と僕は父さんに聞くと、父さんは答えた。
「悪魔の邪眼っていうのは…、もともと松田家に受け継がれる秘宝だ…。秘宝と言ってもただの目玉だが…。俺のすべてをお前に託したぞ…隼人…」
「そんな…!!マジかよ…!!やっと父さんってわかったのに…すぐに死んじゃうのかよ…!!」
と僕は泣いた。
「おっ…そうだ…。お前に言わなければならないな…。俺の悪魔の邪眼は左眼しかない…。だが、右眼もそろったとき、重力を使っても寿命は減らなくなる…永遠にな…」
と父さんは言った。
「その右眼の悪魔の邪眼っていうのはどこにあるんですか…!?」
とマースさんは父さんに聞いた。
「悪魔界の…ボロイ病院だが…そこに…右眼が…ある…」
と父さんの意識はだんだん薄れていった。
しかしボロイ病院って…どこかにあっような…?
父さんは最後の力を使い言った。
「隼人…母さんを…守ってくれ…。俺の唯一、愛した女性だ…」
「もちろんわかってるぜ…」
と僕は涙を流しながら言った。
父さんはふと思った。
《隼人…お前は…俺の意思を受け継いでくれるのだろうか…?狩武を止められるのは…世界でお前だけなのかもしれない…。俺は…お前の父さんは…お前に全てを託す…。これは…別れじゃない…またいつか会えるからな…。だから…その日までの…さよならだ………》
そのとき、
父さんがいきなり倒れ込んだ。
それと同時に真司は目を覚ました。
「俺は…一体…」
と真司は言っていたが、お前は死んでたんだぞと言うと混乱状態になるため、あえておしえなかった。
その後、
僕は医者に眼の移植を頼み、なんとか許可をもらい手術した。
そして、
移植に成功し、僕たちの目的は決まった。
今から悪魔界のボロイ病院に行き、右眼を移植してもらい、
狩武たちと天真たちを見つけ、彼らの野望を阻止すると…。