60話 戦場へ
工場跡地に天真たちとピエロがいた。
「天使の継承と悪魔の継承の覚醒まで時間がかかるな…覚醒すれば彼が封印から解放されるはずだ…」
とピエロは天真たちに言った。
「覚醒と言うのはどのくらい時間がかかるんだ?」
と天真がピエロに聞いた。
ピエロは答えた。
「あと…6時間ってとこだ…。もしかしたら松田隼人たちが来るかもしれない。念のため戦闘準備をしておけ」
そのころ、
病院では僕が父さんに聞いた。
「俺、右腕骨折してるのにどうやって戦うんだ?」
すると父さんは僕の右腕に手を添えて言った。
「なに、簡単だ。重力の力を持ってすれば骨を引き合わせることなんてな……ほら、動かしてみろ」
父さんはそう言うと、僕は右腕を動かしてみた。
まったく痛くない…。ちゃんと元に戻ってる…。さっきまで骨折していたのがウソみたいだった。
「マース君や黒鳥君はケガは無いのかい?」
と父さんは黒鳥たちに聞いた。
「いえ…特に何も…」
と黒鳥たちは声をそろえて言った。
父さんが僕に言ってきた。
「できるだけ戦力が必要だ。真司君を呼べるか…?」
「うん。携帯で電話しているよ」
と僕は父さんに言い、真司に電話した。
15分後。
真司が病院に到着し、作戦会議が始まった。
「まず、最優先の目的は悪魔の継承を奪い返すことだ。その次に天使の継承。どちらかを奪うことができれば封印は解放されないからな…」
と父さんが僕たちに言うと、真司が質問した。
「確か、ブラックホールをこじ開けないと解放できないって言ってなかったスか?」
父さんは質問に答えた。
「天使の継承と悪魔の継承は元々は奴の力だったから、その二つが揃うだけで封印は解放してしまうのだよ」
「でも天真が悪魔の継承を持って行っただけで、まだ狩武の封印を開放するとは限らないんじゃ…?」
と僕は父さんに聞いた。父さんは答えた。
「わからない。もしかしたら違うかもしれないが、そういう可能性がある。それに天使の継承と悪魔の継承が共にあるというのは非常に危険な状態だ。一刻も早く天真のところに行ったほうがいい」
「よし決まりだな!」
とマースさんは言うと、父さんは「ついて来い」と言い、商店街まで歩いて行った。
「なんでここに来たんスか?」
と真司が父さんに聞くと、父さんは黒鳥に言った。
「では魔獣化してくれ、黒鳥君」
「は…はいっ!」
と黒鳥は言い、魔獣の首輪で魔獣化した。
「天真たちの匂いは残っているか?」
と父さんは黒鳥に聞いた。
「少シダガ残ッテル。追跡可能ダ!」
と黒鳥は言い、匂いを嗅ぎながら走って行った。
「黒鳥を追うぞ!」
と父さんは言い、僕たちは走って行った。
そのころ、
悪魔界のボロい病院ではあの造られし悪魔が復活していた。
「もう行くのか?彼のところに…」
とヨボヨボな悪魔が復活した悪魔に聞いた。
造られし悪魔は答えた。
「松田隼人には借りがある。少しは力になってやろうと思ってな…」
「あまり無茶はするなよ」
とヨボヨボな悪魔が造られし悪魔に言った。
「世話になったな…」
と造られし悪魔は言い、ボロい病院を出て行った。