58話 親子の真実
「そろそろ俺たちの関係を教えてやってもいいかな…」
とおじさんが僕に言ってきた。
「えっ…?」
と僕はおじさんを見て言った。関係って何…?
そう思った瞬間、おじさんは僕に言った。
「俺の名は悪魔の邪眼と言われているが、本当はちがう。本当の名は松田 直人。お前の父親だ…」
「は…?」
と僕は思わず声も出なくなってしまった。
僕が小さい頃から…っていうか生まれる前から母さんと離婚した父さんが、何故今頃になって現れたのだろうか…。
僕はおじさんに聞いた。
「あんたが…父さんなのか…!?」
「そう言ってるだろう?」
と父さんは普通に返事を返した。
僕は父さんを睨みつけ言った。
「じゃあブラックホールの中にいる人は誰だ!!赤の他人を封印したっていうのか!?」
父さんは答えた。
「赤の他人ではない。あいつはお前の兄…松田 狩武だ」
僕は自分に兄がいるなんて誰からも聞いていない。僕は父さんに言った。
「ウソだ!!母さんは兄がいたなんて言ってなかったし、誰もそんなこと…」
「当たり前だ。俺が母さんや近所の人の狩武の記憶だけ抜き取ったからな…」
と父さんが言った。
「抜き取った…?」
と僕は父さんに聞いた。
「脳の一部だ。重力の力を使えば、脳の一部を抜き取って破壊することなんて簡単だ」
と父さんは答えると、僕は父さんに聞いた。
「何故だ!?なんで兄を封印したんだ!?」
父さんは答えた。
「そうか…そうだよな…今まで何も知らなかったんだよな…」
と父さんは言い、僕に頭を下げ言った。
「すまなかった…。今、すべてを話すよ。心して聞いてくれ…」
と父さんはそう言うと、僕は黙って話を聞いた。
「俺が十五歳のとき、平凡な家族がいるただの学生だった」
【直人十五歳】
俺はクラスではなかなか頭のいい方だった。
だから、俺は学校の先生を目指して、毎日勉強していた。
【直人十八歳】
そして俺は、大学に入学した。
大学にはたくさんの仲間や、そしてたった一人の恋人ができた。
…そう、その恋人とは、お前の母さん…松田 栞里だ。
たくさんの仲間の中でも最も仲が良かったのは、河原 勝人だった。
俺と勝人は互いに競い合った。
絶対に俺の方が信頼される先生になってやるってな。
だが、ある日、河原 勝人が交通事故でこの世から去った。
俺は勝人の墓の前でずっと言っていた。
「生徒よりも先に死んでどうする…。俺の競い合う相手がいなくなったじゃないか…」と…。
そして俺は教師になった。
結婚もして毎日幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日、母さんのお腹の中に小さな命が生まれた。
それがお前の兄…狩武だ。
【直人二十五歳】
狩武は俺が二十歳のときに生まれた。
生まれてから五年後、狩武には不思議な現象があった。
…俺と同等なレベルの計算や、漢字なんてすべて書けたのだ。
それだけではない。
五歳児とは思えない身体能力だった。
念のため病院に行ってみたが、これと言って異常はなかった。
【直人三十六歳】
そして、
狩武は十六歳になり、高校に入学した。
もちろん高校は超エリート。狩武はその高校の中でもトップの実力だった。
一年前に母さんはまた妊娠した。それがお前だ。
そして嵐の夜。
母さんは「生まれるッ…!!」と言い、病院に運んだ。
母さんを手術室に運んだあと、狩武が俺を病院の屋上に呼んだ。
「こんな嵐なのになんでここに連れてきたんだよ」
と俺は狩武に聞くと、狩武は自分の正体を現した。
人は死ぬと生まれ変わって、
天界道 人間道 修羅道 畜生道 餓鬼道 地獄道の六つの冥界のうち、どこかに転生されると言われている。
が、狩武は天界道と地獄道、そして人間道の河原 勝人の生まれ変わりだったのだ…!!