56話 奪われた腕輪
聖弥と僕の前に天真が現れた。
天真は天使の継承で身体が変化し、身体の三割が聖なる文字で刻まれた。
すでに悪魔化した僕は天真に向かって言った。
「…何しに来た?」
そう言うと、天真は答えた。
「俺たちは戦争をしに来たんじゃない。だが…」
次の瞬間、
天真は悪魔化した僕の背後に瞬間移動し、言った。
「悪魔の継承は頂くぞ」
「なにッ!?」と僕はすぐに反応し、天真の攻撃を避けようとしたが、
疲労があったせいか、何とかギリギリ防御することしかできなかった。
防御したのにすごい痛みが身体中に響き渡った。
「グッ…!!」
と僕は言い、強打した右腕を抑えた。
「その程度か?」
と天真は僕に聞きながら攻撃を仕掛けてくる。
僕はその場から退散しようとしたが、
天真のスピードはとてつもなく速く、逃げることなんてできなかった。
僕は天真の思うがままに殴られ、蹴られ、ついに僕は立ち上がる力も無くなってしまった。
天真は僕の左腕から悪魔の継承をはずした。
その瞬間、僕の悪魔化は解けてしまった。
天真は僕に言った。
「これが俺の手に渡るのは、昔から決まっていたことだ。これで俺は天使と悪魔の絶対的な力を手に入れる…!!」
そう言うと、天真と聖弥の下に、セレシアと康彦も現れた。
「どうだった?」
と天真はセレシアと康彦に聞いた。
「マースは昔と変わらず軟弱な奴だった。今はあっちで寝ているだろうがな…」
とセレシアは天真に言った。
「トドメは刺さなかったのか?」
と聖弥がセレシアに聞くと、セレシアは答えた。
「あんな奴、殺しても何の得が無いわ」
康彦が天真に言った。
「黒鳥もそうだ。魔獣化する悪魔武器を持っていてなかなかパワーがあったが、スピードがまだまだ足りん。少しも楽しめなかったぞ…。まぁ、殺してはいないがな」
天真は3人に言った。
「殺さないで正解だったかもな、こいつら悪魔には天使である俺たちが裁きという名の絶望を与えなければならない。こうも簡単に殺してしまえば、絶望ではないだろう…」
最後に天真は意識を失う直前の僕に言った。
「悪魔の継承はもらった。悪魔の歴史はもうすぐ終わるぞ…!!」
その後、
4人は笑いながら光と共に消えた。
その後のことは、覚えていない…。
気がついたら僕とマースさんと黒鳥は病院のベッドの上で寝ていた。