51話 人間という名の天使
「さぁ、天使化した俺と悪魔化した貴様、どちらが強いかな?」
と天真は言い、戦闘態勢になった。
天真の右腕、顔の右半分、右側の髪の毛の身体の三割に、聖なる文字が刻まれている。
これが天使の継承の能力なのか?
僕の悪魔化とは少し違う点がある。
まず僕の場合、悪魔化したら精神も悪魔化するはずなのだが、
天真の精神は変化していない。
だが、天使の継承は明らかに僕の悪魔の継承と対になっている。
それに身体が変化する部分が左右対称なのだ。
一体、天使の継承とは何なのか?
悪魔化した僕はそんなことを考えていると、天真が襲い掛かってきた。
「うおっ!!」
と反射神経が良かった僕は、何とか天真の攻撃を避けた。
だが、天真は透かさず攻撃の態勢になり、僕は蹴り上げられた。
空中に飛ばされた僕は、そのまま体勢を変え、天真の方を向く。
天真は思いっきりジャンプして僕のいる高さまで飛んできていた。
しかし、僕はカウンターで天真が飛んできたと同時に、拳を前に振った。
そのパンチは直撃し、天真は校庭の地面に激突した。
空中にいる僕は倒れている天真に膝を向け、そのまま落下する。
しかし、天真はその攻撃を避け、立ち上がった。
僕の膝はそのまま地面に直撃し、校庭中にドスン!!という音が鳴り響いた。
もちろん、僕の膝にかなりの激痛がきた。
天真は僕に向かって言った。
「なかなかのもんじゃないか。その調子で楽しませてくれよ?」
僕は言い返した。
「そのセリフ、そっくり返すぜ。」
そのころ、
三階の廊下では真司と聖弥が戦っていた。
真司は無数の矢を放つが、聖弥は華麗なステップで攻撃を避け、女神の拳銃をちょこちょこ撃ってくる。
すでに真司は何発かかすり傷になっている。
このまま戦いが長引くのは、体力的にヤバいとわかった真司は、消火栓に向かって矢を撃った。
すると消火栓は壊れ、中から白い煙が廊下中に漂った。
湿っぽい臭いも漂う。
真司はすぐさま階段を下りて、その場から退散した。
「くそう!!逃がしたか…!!」と聖弥は白い煙の中で苦しんでいた。
一方、
校庭では僕と天真の戦いがどんどんエスカレートし、激闘になっていた。
そんなとき、
天真といっしょにいた二人の中の一人が言った。
「天真!それ以上戦いが長引くのは危ない。そろそろ奴も来てしまう!」
「奴…?」と僕はその言葉が気に掛かった。
「仕方ない。太古の昔からの掟だからな…。」と天真は言い、戦いを止め、二人の方に歩いて行った。
すると校内から聖弥も現れた。
「ったく、あの真司ってやつ戦いから逃げやがった!」
と聖弥は言い、天真たちと合流した。
天真は僕を指差して言った。
「次は必ず貴様の悪魔の継承をいただく。首を洗って待っていろ。」
そう言うと、天真たちは光と共に消えた。
一体、彼らの言う、奴とは誰のことだろうか…?