3話 悪魔王からの強制任務
僕とレアルは街をひたすら歩いていた。
僕はこれからどこに行くか、レアルに聞いてみることにした。
「レアルさん…だっけ?今からどこに行くんですか?」
レアルは簡単に答えてしまった。
「悪魔王の城だよ。悪魔王に会いに行くためにね。」
僕の足はピタッと止まってしまった。
てっきり僕はレアルが元の世界に戻してくれると思ったが、僕の考えが甘かった。
だがこのままここにいても嫌な予感がする。
僕はレアルについて行けば人間界に戻る手がかりを見つけられるかもしれない。
そう思って僕はレアルについて行った。
それにしても悪魔界は人間界と似ている。
街並みもそうだが、悪魔界にも昼と夜があるのだ。
夜が訪れた。
すると悪魔がザワザワと現れていく。
空を見上げるとたくさんの悪魔がバサバサと飛んでいる。
やがて城にたどり着いた。
レアルは立ち止った。そして一言、
「この城に悪魔王がいらっしゃる。」と言い、門を開けた。
僕は足の震えが止まらない。
そんな僕にレアルは「怖いのか?」と聞いてきた。
僕は「うん。」しか言えなかった。
悪魔王に会ったらどうなるのだろうか?
まず最初に拷問されて、その次に人間だと知られて、最後に殺される…。
あぁ……できれば想像したくない。
そしてついに僕は悪魔王の部屋に来てしまった。
周りには鎧を身に着けている悪魔が100人?いや…300人はいるだろう。
レアルはいきなり土下座をして報告した。
「報告します。このレアルただいま帰還しました。」
なぜ土下座なのだろうか?
よく見ると周りにいる悪魔全員が土下座している。
ここは場の空気を読んで僕も土下座をしたほうがいいだろう。
僕が土下座をした瞬間、レアルや周りにいる悪魔たちは土下座をやめた。
僕だけ土下座をして悲しい・・・。
僕は顔を上げると悪魔王はこっちを見ていた。
僕の心にあるのは恐怖と絶望のみ。
それでも僕はわずかな勇気を振り絞って悪魔王に聞いてみた。
「あ…ああなたが…、ああ……あああ悪魔王ででしょうか……?」
声まで震えている。
きっとあと3分後には殺されているのかもしれない。
悪魔王は「そうだよぉん。」と言った。
さらに笑顔で「悪魔界にようこそぉん!かわいい人間ちゃん。」
と言った。
僕は驚いた。
逆に怖くなるほど驚いた。
外見は顔は骨で厳つく翼は黒くてでかい。
なのに口調はオカマなのだ。
少し落ち着いた僕は悪魔王に質問してみた。
「なんで僕を悪魔界につれて来たのですか?」
すると悪魔王は聞き返した。
「それはねぇ、そんなに聞きたいぃ?」
う…ウザいぃぃぃぃぃぃ!!!
僕は本音を抑えて、「聞きたいです。」と言った。
すると悪魔王は語り始めた。
「悪魔にも善と悪っちゅう違いがあるんだけどよぉ、
殺しを趣味にする悪い悪魔たちが人間界に逃げてしまったんでござんすぅ~!」
悪魔に善がいるのだろうか?
この話どおりなら人間界に悪魔がいることになる。
僕は聞いてみた。
「えっ?じゃあ人間界にも悪魔がいるのですか?」
悪魔王は鼻をほじくりながら答えた。
「YES!だぁかぁらぁ人間界にいる悪い悪魔を倒してもらいたいんで討伐ヨロピク~☆」
僕は納得がいかない。
悪魔の問題は悪魔が解決すべきだ!
と思いながら僕は断ろうとした。
「あの~、実は僕そのですね用事があって・・・。」
悪魔王はさわやかなスマイルで言った。
「いいんだよ?やらなくても。
そしたら地獄の果てまで君を追いかけて、殴って蹴飛ばしてぇ、ボロボロに潰すまで☆」
それから悪魔王はずっと笑っていた。
きっと僕がボロボロになるのを想像していたのだろう。
僕は思った。
やはり悪魔に善なんていないのでは・・・?