36話 時間の戦い
悪魔界にある山、死の山の頂上には悪魔の城があった。
そこでは悪魔の邪眼という名のおじさんと、悪の悪魔の王、サタンデーモンが対峙していた。
「俺が悪魔武器となったのは、丁度今から十五年前だったな。」
とおじさんはサタンデーモンに話しかけた。
「お前の力は今日でわが身の一部となる。悪魔の邪眼よ、お前の身体の主となるその眼、いただくぞ。」
とサタンデーモンはおじさんに向かって言った。
おじさんは自分に指差して言った。
「やってみろよ。」
その頃、
悪魔界の死の山のふもとにある住宅街では、悪魔化した僕がラーシに向かって攻撃を仕掛けていた。
「死ねぇぇぇぇ!!」
と悪魔化した僕は言い、ラーシを殴り飛ばした。
と思ったが、ラーシの頬を殴る瞬間、ラーシの姿が消えた。
僕は後ろを振り向いた。
後ろにはラーシが宙に浮いていて、僕に手を向けていた。
次の瞬間、
強烈な衝撃波が僕に向かって飛んできた。
僕はラーシの攻撃を何とか避けたが、あと数秒遅かったら僕の身体は真っ二つになっていて、グロテスクシーンになるところだったのだ。
そんなことを考えていたら、またいつの間にラーシが僕の背後に浮いていた。
また僕に手を向けていた。
僕はさっきと同様、ラーシが放つ衝撃波を避け、ラーシに攻撃を仕掛けた。
しかし、ラーシは一瞬で僕の背後に回り込むのだ。
何なんだ!?この小悪魔は!?
そう思っているとレアルが僕に言ってきた。
「隼人!魔神に選ばれし悪魔にはそれぞれ能力があって、憎まれし小悪魔ラーシの能力は時間を止めることだ!そいつに攻撃しようとすれば、時間を止められて不利になってしまう!かと言って攻撃しないのも不利になるぞ!だが、その能力にもリスクがあって、時間を一回止めた後は2秒の間、時間を止められない!そこが弱点だ!」
わかりやすいようでわかりにくい説明だ。
とにかくラーシは時間を止める能力とやらを持っているらしい、悪魔化した僕はレアルに聞いた。
「なんかラーシの弱点とかないのか!?」
レアルは質問に答えた。
「ラーシが時間を止めて移動したあと、時間が戻った瞬間、ラーシの瞬間的な移動で発生する風が吹くはずだ、その風の流れを集中して掴むしかない!」
悪魔化した僕はラーシに走り出した。
ラーシに向かって殴りかかった瞬間、僕は眼を閉じた。
キルビスの下で修業したからだろうか?眼を閉じれば空気の動きがよくわかる。
そのとき、空気の動きがいきなり左に動き出したのだ。
僕は眼を開けると同時に左に向かって、強烈なパンチを打った。
手ごたえがあった。僕は拳の先にいる人物を確認した。
殴ったのはやはりラーシだった。
「お前の特技も破かれたぜ、ラーシ!」
僕がそう言った瞬間、ラーシが突然ニッと笑った。
そしてまた時間を止め、僕の背後にいた。しかも僕に向かって手を向けている。
そのとき僕はまだラーシを殴った体勢で、衝撃波を回避する体勢にはなれなかった。
ラーシは「終わり♪」と言った瞬間、鋼鉄のような漆黒の鉄拳がラーシを殴り飛ばした。
僕とレアルはラーシを殴り飛ばした者を見た。
「一つ借りができたな、松田隼人。」
とラーシを殴り飛ばした者は言い、僕を見てきた。
そう、ラーシを殴り飛ばしたのは朱希羅だった。朱希羅が僕の命を救ってくれたのだ。
ラーシは朱希羅に笑いながら言った。
「やはりお前のような下等生物は群れるのか、ククク…。」
朱希羅は悪魔化した僕に言った。
「二人でラーシを倒すぞ!隼人!」
悪魔化した僕は上から目線で朱希羅に言った。
「足を引っ張るんじゃねぇぞ!朱希羅!」