33話 王の命令
朱希羅がマースさんにとどめを刺そうとしたとき、ミニサイズの黒い箱と共に黒鳥が現れた。
朱希羅は黒鳥を睨み言った。
「黒鳥か…。こいつらよりマシな戦いができると思うが、所詮クズだ。オレにはかなわない。」
黒鳥は魔獣の首輪を身に着けた。
すると黒鳥の身体はどんどん魔獣化していった。
頭には角が生え、ごっつい尻尾も生え、爪も鋭く伸びた。
「こいつらには指ひとつ触れさせん。かかってこい。」
と魔獣化した黒鳥が朱希羅に言った。
魔獣化しても日本語は話せるのだ。
朱希羅は黒鳥に向かって走り出し、言った。
「後悔しろ。オレを相手にしたことをな。」
そのころ、
死の山と呼ばれる山の頂上にある城では、悪い悪魔の王が複数の悪魔に命令していた。
その複数の悪魔の中にはかつて戦ったヴァイザーや、黒鳥と寺の前で戦った悪魔がいた。
ある悪魔が王に聞いた。
「悪魔六剣士の一人、デリウスはどうしたんです?」
悪魔たちの王は言った。
「あいつはやられた…。足が動作不能になり、今は修理中だ。」
ヴァイザーは王に言った。
「まったく、デリウスは我ら造られし悪魔の恥だな。で?倒したのは?」
王は答えた。
「悪魔の継承の所持者、松田隼人だ。」
ヴァイザーは指をポキポキ鳴らしながら言った。
「悪魔の継承……っていったら…ああ、あの人間のガキか。」
王は悪魔たちに言った。
「これからお前たち造られし悪魔には、我の計画の妨げとなる悪魔の継承の所持者、松田隼人の討伐を命ずる。また、そいつの仲間も殺してかまわん。決して生かすな。」
造られし悪魔たちはいっせいに「ラジャー!」と答えた。
そのとき、
城の門を破壊して城に現れる者がいた。
その者は城に入り、造られし悪魔たちの前に立った。
その者とはおじさんだ。
かつて朱希羅と戦ったあのおじさんだった。
おじさんは造られし悪魔たちに言った。
「隼人は殺させないぞ?あいつは俺にとって、大切な人材だからな。」
王はおじさんを指差して言った。
「標的変更だ。あの人間を殺せぇ!!」
6体の造られし悪魔たちはいっせいにおじさんに襲い掛かった。
おじさんは言った。
「俺は人間じゃない…。俺は悪魔武器、その名は、悪魔の邪眼だ。」