2話 小悪魔レアル
僕は家に帰った。
ここは一体どこなのだろうか?
人は誰一人いない。空は紫色。生き物はカラスのみ。
当然、家に帰っても誰もいない……はずだが!
僕の部屋に小さな小娘がいたのだ。ホントに小さい。手のひらサイズだ…。
しかも浮いている!
そのとき僕は気づいた。この小娘は悪魔だと!
なぜなら肌は青く、眼は紅い。しかも黒い翼と黒い尻尾まであるのだ!
僕は悪魔だと確信すると、部屋を出て逃げ出した。そして叫んだ。
「殺される、殺される、殺されるぅぅぅぅぅぅぅ!!」
家の玄関を開けようとしたがビクともしない、まったく動かなかった。
小悪魔は逃げ場を失った僕に近づいて来る。
心臓がバクバクなっている。
もう僕の人生はこの小悪魔によって幕を閉じる…。
と思っていると恐怖で意識がだんだん無くなり、目の前が真っ暗になった。
やがて目が覚めると僕は自分の部屋にあるべッドの上にいた。
やはりあれは夢か…。と思いながら横を見ると、あの小悪魔がいた。
今までのは夢ではない、現実だ!
小悪魔は僕を見ている。恐怖で涙が枯れ果てている。
小悪魔は不機嫌そうに言った。
「やっと起きたか。待ちくたびれたぞ。」
どうやらこの小悪魔は僕が起きるのを待っていたらしい…。
けどなぜ?
僕は勇気を振り絞って聞いてみた。
「あ……あなたは…誰……?」
小悪魔は正体を語った。
「アタシは悪魔王の部下、名はレアルだ。」
僕の頭の中は混乱状態。僕はすかさず質問した。
「悪魔王ってなに?」
レアルは即質問に答えた。
「この世界に君臨する王様のことだ。知らないのか?」
さらに僕は質問した。
「っていうかこの世界ってここはどこだよ?」
レアルはバカにした顔で言った。
「なに言ってんだい?ここは悪魔界だぞ。」
僕の混乱はピークに達していた。
しかし人が誰一人いないのも、空が紫色なのも、ついでに生き物がカラスしかいないのも、全てつじつまが合う。
そしてレアルは全てを話した。
「アタシは悪魔王から授かりし使命のために、お前をこの悪魔界に連れてきたんだ。」
「じゃあ、あの黒い箱はお前が僕の部屋に置いたのか?」
僕はさらに質問した。
「なんで僕を悪魔界に?帰る方法は?」
レアルは怒鳴った。
「一気に質問するなぁ!!」
僕は言葉を失った。レアルは質問に答えてくれた。
「お前を悪魔界に連れてきたのは悪魔王が数々の人間の中からお前を選んだからだ。
ついでに、あの黒い箱は我々悪魔が使う時空間転送システム。
名付けてブラックボックスだ。」
「そのまんまじゃん!」と僕はついクセで悪魔にツッコミをしてしまった。
レアルは気にせずただ一言。「ついて来い。」と言って家を出て行ってしまった。
僕はここにいても意味がないのでレアルについて行くことにした。