27話 牢獄の中で
長野のお寺にいる黒鳥とキルビムの下に、突然あの小悪魔がやって来ていた。
憎まれし小悪魔 ラーシだ。
キルビムはいち早くラーシの接近に気づき、黒鳥に伝える。
ラーシは寺の門の前まで来ていた。
「ここだったか…?黒鳥 鉄尾がいる寺は…。」
とラーシは確認し、門を吹き飛ばした。
黒鳥とキルビムは寺の中に隠れていた。
「黒鳥 鉄尾!出てこい、さもないとこの寺ごと吹き飛ばすぞ!」
とラーシは寺に向かって言った。
黒鳥はキルビムに「あいつの狙いはオラです…。師匠は隠れていてください…。」
と小声でキルビムに言った。
キルビムは黒鳥に「気を付けろよ…。」と声をかけ、黒鳥は寺を出て行った。
「お前が黒鳥か…?」
とラーシは黒鳥に聞いた。
黒鳥は「さっさとここから出ていけ!」とラーシに怒鳴ったが、
ラーシは黒鳥に向かって挑発した。
「こいよ、魔獣の首輪でも使って魔獣化しろよ…。ボクには傷一つつけられないぜ…。」
黒鳥は「後悔すんなよ…!!」と言って魔獣化した。
その頃、
悪魔界の悪魔城の牢獄ではゼルキルムと朱希羅が牢の中から会話をしていた。
「貴様は…、悪魔王の弟子 ゼルキルムだな…。」
と朱希羅はゼルキルムに話しかけた。
ゼルキルムは朱希羅を睨みつけ、
「お前は何者だ…?人間のくせにこんな牢獄に…。
お前の年頃の人間はガッコウとか行ってなかったか…?」
朱希羅は言った。
「別に行かなくてもいいさ。人生楽に生きる。
仕事もしなくていい、寝て、食べて、自由に生きる。
だが、一つだけ成し遂げたい目標がある。
それには悪魔の力が必要なんだ…。俺を絶望から救った悪魔の力が…。」
ゼルキルムは悪魔の力…?と質問した。
朱希羅は話し始めた。
「俺が幼少の頃、母親が父親にタバコのことで怒り出した時があった。
父親は逆ギレして、母親を殺した…。
俺は父親について行こうとしたが、俺を殴り、そのまま去ってしまった…。
俺はホームレスになり、毎日コンビニで万引きをした。
そんな生活を過ごしていた俺の前に現れたんだ…。
憎まれし小悪魔ラーシだ…。」
ゼルキルムは質問した。
「ラーシと関わりがあるのか!?それにあいつは憎まれし小悪魔なんかじゃないはずだ!」
朱希羅は答えた。
「ラーシはお前を騙していたのだ。あいつは魔神に選ばれし三悪魔だったのさ…。
話は戻るが、俺の前に現れたラーシは言った。
最強の力が欲しくないかい…てな。
ラーシはこの悪魔の鉄拳を落として行った。
俺はこの力で欲しいものはなんでも手に入れた!食い物、現金すべて手に入れた!
だが、俺は目的を達成するため、ある男を捜索した。」
ゼルキルムは質問した。
「目的…?」
朱希羅は拳を強く握りしめ言った。
「俺の目的は、父親をこの手で殺すことだ。
罪のない母親を殺し、俺を道ばたに殴り、置き去りにした…。
あいつは殺さなくてはならない…。」
ゼルキルムは言った。
「復讐…か…。
松田 隼人や、山田 真司たちとは違い、自ら闇を進む人間がいるとはな…。人間はややこしい…。
その目的を達成するにはこの牢獄から脱獄しないとな…。
ここはどんな罪でも永遠に投獄されるからな。
見ろ。あそこの悪魔も死にかけていたり、もう死んでいる悪魔もいる。」
と言ってとなりの牢獄を指差した。
「うぅ…。」と悪魔が嘆いている。
「どうだ?協力してみないか…?
お前とオレで…この牢獄をぶっ壊すんだ…。」
朱希羅は言った。
「いいだろう…。退屈しのぎには丁度良さそうだ。」
朱希羅とゼルキルムは牢屋を壊して、牢獄を破壊し始めた。
そのころ、
悪魔城のとなりの墓地にいた僕は悪魔城から煙が見えたので、悪魔城に向かった。
悪魔城はほとんど崩壊していた。
僕の目の前にいたのは脱獄した囚人たちとゼルキルムと朱希羅だった。