223話 別れの時
山のふもとの町に車を停車し、山を登り続ける僕たち。
僕はジャックさんにおぶってもらい、楽に登山していた。
そんな僕たちの目の前にマースさんとラーシが下の方から山を登ってきた。
「探したぞ~、みんな~。疲れたぁ~」
とフラフラのマースさんさ言い、僕たちとマースさんは合流した。
山の頂上、天魔の聖堂の前では江川と朱希羅、そしてヒュードラッド仙人が待っていた。
「あっ!来た!」
と朱希羅は頂上まで登ってきた僕たちを指差して言う。
「待ちくたびれたぞ」
と江川は言うと、僕は皆に言う。
「よし、帰ろう!俺たちの時代に!」
そして、天魔の聖堂の中に入ったとき、僕の左腕にはめている悪魔の継承が輝き出した。
「なんだ⁉」
と皆はその光を見て言うと、その光は白髪の人の形になり、やがてレンの姿になった。
「レン!お前!」
と僕は目の前に現れたレンに言うと、レンは答えた。
「ありがとう。君たちがジンを倒したことで未来が変わり、俺は生き返ることができた」
「この人が隼人の前世なのか?」
と真司は聞くと、僕は答える。
「そうだ。言い換えれば、悪魔化したときの俺だな」
レンは天真を見て言う。
「天真、お前が持っていた天使の継承は、ある一つの武器を二つに分けたうちの一つなんだ。もう一つが悪魔の継承で、今、二つの武器は元の形に戻った。もう、別れることはないんだ。ゴメンな、お前を守る武器が無くなっちゃって」
「そんなこと、いいですよ!」
と天真は言うと、レンはニコッと笑い、僕を見て言う。
「これからは俺がこの時代を守って行く。お前たちは、自分たちの時代を守れ。任せたぞ!生まれ変わりの俺!」
すると、聖堂のど真ん中に光とともに神の扉が現れた。
「この世界は四つに別れる。早く帰らないと、下手したら、元の時代に帰れなくなるぞ」
とレンは言うと、青年の狩武が僕に言う。
「帰ろう。兄さん」
「おう!あっ……」
と僕は言い、悪魔の継承と魔法結晶をレンに渡そうとした。
「これは元々、お前の武器だし、必要だろ?」
と僕は言うと、レンは二つとも僕に返した。
「これは持って行ってくれ。大丈夫だ。魔法結晶はこの時代にもまだあるし、俺は最強の魔術師だからな!」
とレンは言うと、僕はレンと握手して言う。
「お前だけじゃないぜ、最強の魔術師は!」
そして、僕たちは神の扉に飛び込んだ。
扉の向こう側の異空間に飛び込んだ僕は後ろを振り向いた。
異空間の向こうにはルークさんとヒュードラッド仙人とジャック、そしてレンが僕たちを見ていた。
「じゃあなー‼レン‼今まで本当に、ありがとなー‼」
と僕は大きな声で言うと、レンは僕に向かってグッドラックのサインを送った。
そして、気がつくと、僕たちは聖堂の真ん中で寝ていた。
「うわぁぁぁぁん‼」
と3歳児に戻った狩武の泣き声で僕は目覚め、みんな起き上がった。
「帰って来たのか?」
と天真は頭を掻きながら言うと、マースさんが僕たちに言った。
「ひょっとして、今までのが夢だったりしないよな⁉」
僕は握りしめている魔法結晶と悪魔の継承を見て言った。
「夢じゃない。夢じゃないですよ」
「ふぁ~あ、帰ってシャワーでも浴びるか!」
と江川は言うと、僕は皆に言った。
「よーし、解散!帰って飯でも食うか!」
こうして、僕たちの時を超えた旅が終わった。