221話 トドメの一撃‼
天魔の錫杖を構えた僕は、ジンの身体から飛び出した黒い巨人を見て言う。
「それが、ジンさんを利用したお前の正体か!」
そして、僕は黒い巨人に向かって走り出した。
すると、黒い巨人は迫ってくる僕に強大なパンチを放った。
僕はパンチを避けると、そのパンチは部屋の床に直撃し、その威力で床が崩壊し、僕と黒い巨人と、気絶している天真や真司たちが、ジンの部屋の下のホールに落ちた。
「みんな!」
とガレキとともに落ちてゆく僕は、悪魔の邪眼の重力で空中に浮き、さらに気絶している真司や天真たち。そして、ジンを浮かせた。
大聖堂のようなホールに、黒い巨人とガレキが音を立てて、落ちて行った。
僕は安全に着地すると、天真たちをホールの壁側で寝かせた。
「もうすぐ終わるからな」
と僕は気絶しているみんなに言うと、後ろを振り向き、黒い巨人を睨みつけた。
「行くぞ!」
すると、僕は黒い巨人に向かって走りながら錫杖を構えると、魔術を発動し、黒い巨人から火柱が出現した。
「グオオオオオオオ‼‼」
と悲鳴のような怒鳴り声をあげている黒い巨人を火柱が包み込み、さらに火柱の周りに魔力で生み出した十数個の氷の刃を、黒い巨人を囲むように出現させた。
そして、その十数個の氷が火柱に向かって突進するように動きだした。
すると、火柱に包み込まれた黒い巨人の身体に、十数個の氷が突き刺さり、僕は重力を軽くしながら、黒い巨人の上空までジャンプした。
「くらえ‼」
と僕は言いながら、魔神召喚を使い、魔神の拳を、自分の拳に宿し、強烈な一発を黒い巨人に放った。
しかし、黒い巨人は魔神のパンチを片手で受け止め、僕を空中に投げ飛ばした。
空中に投げ飛ばされた僕は、すぐに態勢を整え、着地した。
火柱はすでに消えていて、黒い巨人に突き刺さっている氷も、もう床に落ちていた。
「くそ!怪物だな……!攻撃が効いているのかもわからねぇ……!」
と僕は言うと、黒い巨人は僕に向かって言う。
「俺が死ねば、この城は爆発する‼お前が勝っても、死ぬのは変わらん!もちろん、そこで寝ている人間どももな」
「こいつを倒せば城が爆発か……。厄介だな……」
と僕は言うと、ある声が聞こえた。
「隼人!無事か!」
その声はマースさんだった。武器も何も持たずにマースさんとラーシが来たのだ。
「丁度良い!ラーシ!マース!気絶している天真たちを外に運んでやってくれ!」
と僕は怒鳴ると、黒い巨人は強大なパンチをマースさんに放った。
「うわぁ‼」
とマースさんは防御の姿勢になろうとしたとき、急に黒い巨人のパンチが止まった。
「腕が動かないだと⁉……いや、腕だけではない!身体が動かない‼」
と黒い巨人は言うと、僕が重力を扱い、黒い巨人の周りの重力を何億倍も重くしたことに、マースさんは気づいた。
「急げぇ‼‼」
と僕はマースさんに怒鳴ると、マースさんは「わかった」と返事を返し、ラーシとマースさんは天真たちを運び出した。
「うおおおおおおお‼‼」
と僕はすごい踏ん張りながら、黒い巨人の動きを止めていた。
「このガキがぁ‼」
と黒い巨人は言い、僕を睨みつけた。
数分して、マースさんがすべての気絶者を避難させると、僕はマースさんに言った。
「マース!俺がこいつを倒したら、この城は崩壊する!お前たちはできるだけこの城から離れろ!」
「でも、お前を一人にはできない‼」
とマースは言うと、僕は答えた。
「俺は一人じゃないぜ!二人一組だからな‼」
すると、マースは「帰って来いよ‼」と言い残し、その場を去った。
「ハァ……ハァ……」
と重力を使い続けた僕は息を切らしていた。
「殺るなら、今だ‼」
と動けるようになった黒い巨人は言うと、僕に向かって強大なパンチを放った。
僕はそのパンチを避けようとしたが、避け切れず、左足に強大なパンチが直撃した。
「ぐっ‼これくらい!」
と僕は言い、再び立ち上がり、魔術を発動し、氷でできたカッターブーメランを生み出した。
「そぉらぁ‼‼」
と僕は怒鳴りながら、氷のブーメランを投げ飛ばした。
黒い巨人はそのブーメランを右にステップし、難なく避け、僕に言う。
「グハハハ‼魔力の無駄遣いだな‼」
すると、僕はニヤリと笑い、答えた。
「思い通りだ‼バカヤロー‼」
すると、氷のブーメランはホールの柱を斬り裂き、6本の柱がホールの中心にいる黒い巨人に向かって倒れて来た。
「なに⁉まさか!ブーメランは柱を狙って……!そして、俺をホールの中心におびき寄せるために!」
と黒い巨人は言うと、黒い巨人は倒れて来た6本の柱に押し潰されてしまった。
すぐに僕は自分の身体を重力で軽くし、高くジャンプした。
そして、柱に押しつぶされている黒い巨人に向かって天魔の錫杖を投げ飛ばすと、その錫杖は黒い巨人の身体に突き刺さり、さらに錫杖から魔力の鎖が現れ、黒い巨人の身体を魔力の鎖で拘束した。
「またこの鎖で身動きを⁉くそ!柱と鎖で動けん‼こんなハズがない!ありえない‼」
と黒い巨人は言うと、拘束され、床に這いつくばっている黒い巨人に向かって、僕はパンチを仕掛けた。
それも魔神を宿した拳で、重力を重くして、空中から急降下した魔神の強烈なパンチだ。
「終わりだぁぁぁぁぁぁぁ‼‼‼」
そして、そのトドメの一撃が身動きの取れない黒い巨人に直撃した。