217話 魔神を扱う者
「呪憎裏は解かせん‼」
とジンは言いながら、僕とレアルに向かって走り出した。
レアルは僕に言う。
「精神を集中して私に触れろ!」
「わかった!」
と僕は返事を返し、レアルの手に触れようとした瞬間、ジンが僕とレアルに向かって魔術の光線を放った。
その光線は大規模な光線で、凄まじいエネルギーが僕とレアルに迫ってきた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ‼‼
とその大規模な光線は音を立て、僕とレアルを飲み込んだ。
「レアル!隼人!」
と天真は叫ぶと、光線は消え、大量の土煙がジンの部屋の中に漂った。
ジンはニヤつきながら言う。
「なかなか強かったぞ……。レン。だが、この俺には敵わない。あの時と何も差は変わらないのだ」
「あの時とは違うぜ」
と土煙の中から声が聞こえてきた。
「バカな!まさか……解除したのか……⁉」
とジンは動揺すると、土煙が晴れた。
そこにいたのはレアルと、魔神を宿し、光線を魔神の左手で防いだ僕だった。
魔神を宿した僕を見て、デリットは言う。
「あれは……レアルの能力、魔神召喚!間違いない!レアルの呪憎裏は解除されている!」
するとルリがデリットを見て言う。
「だけど松田隼人の魔神召喚はレアルの魔神召喚と少し違うわ!レアルは魔神を口から召喚するのに対して……」
そして、ルリは隼人を見て言った。
「松田隼人は魔神を……自らの身体に宿している!」
そう、魔神は僕を覆うように存在しているのだ。
ジンは僕を見て、思っていた。
(魔神召喚……。あの能力を創り出したのは俺だが、俺でも魔神を扱うことはできなかった……。扱うことができるのは魔族である悪魔だけだと思ったが……。まさか……人間が!)
「すぐに叩き潰す!」
と僕は言い、魔神を一度引き込め、再び悪魔化した。
「魔神を扱えるようになっただけで、調子に乗るなよ……」
とジンは言うと、悪魔化した僕は高速のような速さでジンの背後に移動し、攻撃を仕掛けた。
だが、究極悪魔化したときよりも僕のスピードは遅く、ジンは僕の動きを見切っていた。
(この程度のスピードなら、避けることも容易い!避けた直後に攻撃を仕掛ける!)
とジンは思いながら、僕のパンチを避けると、凄絶なるオーラが僕の右腕を覆った。
そして、魔神の右肩が僕の右肩を覆い、魔神の右手がジンに向かってパンチを放った。
「なに⁉魔神の一部だと⁉」
とジンは言い、防御の姿勢になったが、ジンの身体よりデカイ魔神の拳は防御し切れなかった。
ジンはそのまま部屋の壁に殴り飛ばされてしまった。
真司は僕を見て言う。
「魔神のパンチの攻撃規模が大きいから、普通なら当たらない攻撃が当たってる!」
すると、天真も言う。
「それにどんなにすごい眼を持っていようとも、間近で大規模な攻撃を放たれたら、避けることはできない!これは隼人の有利だ!」
「青二才が生意気な‼」
とジンは言いながら、起き上がると、悪魔化した僕は魔神の右腕を引き込め、言う。
「この世界は、俺が守る!」
すると、ジンはいきなり笑いだした。
「クククク……。フフ、クハハハ!」
「壊れたのか?」
と真司はジンを見て言うと、ジンは黒いコートを脱ぎ捨て、上半身裸になった。
そして、ジンはにやけながら言う。
「この眼を開眼するのは……お前らが初めてだ……。レン、松田隼人!」
「この眼?まだ何かあるのか?」
と悪魔化した僕は聞くと、ジンは自分の両手の平を胸に当てた。
すると、ジンの胸からかなり大きい一つの眼が現れた。
その眼はクワッと開くと、ジンは戦闘態勢になった。
「なんだ⁉あのジンの胸の気味悪いデカイ眼は⁉」
と天真は言うと、ジンは悪魔化した僕に言った。
「これが、第三の眼!“時空間の眼”だ‼‼」