214話 激しき戦い
「いくぞぉ‼」
と鬼神化した僕は怒鳴り、ジンに向かって走り出した。
隼人はレンに呼びかけた。
『レン!狙いは奴が持っている最後の最強の魔術師の遺品だ!』
「わかってるぜ!相棒!」
とレンは答えると、僕の背後から声が聞こえた。
「隼人!避けろよ!」
その声は真司だった。
邪神の弓矢を構えた真司が矢を引き絞っていた。
そして、真司は一本のエネルギー体の矢を放つと、その矢は分裂し、無数の矢が僕に向かって飛んで行った。
僕は高くジャンプし、矢を避けると、その矢はジンに向かって飛んで行った。
ジンも難なく矢をジャンプで避けると、僕は悪魔の邪眼の重力で身体を操り、空中を飛ぶように、ジンの目の前まで飛んで行った。
僕はジンに向かって、そのままキックを放とうとしたが、ジンは冷めた顔で一言言う。
「くだらん」
すると、ジンは僕の蹴りを難なく避け、逆に僕を蹴り返した。
「ぐおッ!」
と僕は言いながら、部屋の壁に吹っ飛んで行った。
「まともに相手したらダメだな!」
と聖弥は言うと、女神の拳銃をマシンガンの形状に変化させた。
そして、ジンに向かってマシンガンを連射した。
バララララララララ……‼‼
と空気が揺れるような音が響く中、無数の弾がジンに向かって飛んで行った。
しかし、ジンはすぐに走り出し、連射を走りながらすべて避けて行った。
ちゃんとジンの両目は弾を捕えていた。
それにより弾の発射場所、弾のスピードなどを細かく見切ることができたのだ。
弾を避けながら、聖弥に向かって走って来るジンに向かって、今度は狩武が光線を放ち、さらにデリットが狩武の光線を技鏡でコピーし、全く同じ光線をジンに放った。
マシンガンの弾と、二つの光線がジンに飛んで行った。
しかし、ジンはニヤリと笑い、走りながら二つの光線に手を向けた。
そして、ジンの両手からは光線が放たれた。
おそらくジンも技鏡を使ったのだろう。
ジンは魔神に選ばれし三悪魔の能力を持っているのだから。
ジンから放たれた二つの光線はデリットと狩武の光線を打ち消し、狩武とデリットに光線がそれぞれ直撃した。
「ぐっ‼」
と狩武は光線で焼けた傷を手でおさえると、ジンはついに聖弥の目の前まで来ていた。
「速いッ‼」
と聖弥は言い、とっさに防御の姿勢になったが、ジンは聖弥の頭をつかみ、床に叩きつけた。
「ぐはっ‼」
と叩きつけられた聖弥はそのまま意識を失ってしまった。
ジンは倒れ込んでいる聖弥にトドメを刺そうとしたが、鬼神化した僕がジンの背後から攻撃を仕掛けていた。
「こりない奴らだ」
と僕の存在に気づいたジンは言うと、すぐに背後を振り向き、僕のパンチを避けた。
続いて僕は蹴りを放ったが、それも難なく避けられてしまった。
「お前の動きは完全に読めている‼」
とジンは言うと、僕の攻撃を避けたと同時に僕を殴り飛ばした。
「くそッ‼」
と僕は態勢を整えて言った。口からは血がタラっと垂れていて、身体はもうボロボロだった。
そのとき、魔獣化した黒鳥がジンに攻撃を仕掛けていた。
「クラエ!」
と黒鳥は言い、鋭い爪で攻撃しようとしたが、ジンもそう簡単に攻撃を受けてくれず、黒鳥の攻撃を避け、黒鳥を部屋の壁に蹴り飛ばした。
「くそ!やっぱ強え!」
と僕は言うと、口から垂れている血を手で拭きながら精神を集中した。
ジンは息ひとつ乱れていなかった。
そんなジンは冷たい顔で僕たちに話しかけた。
「お前らがどんな戦略で来ようと、俺には勝てん。俺は未来を見ることができる。お前らの敗北の未来をな」
すると、僕の周りにオーラが弾け飛んだ。
僕は悪魔の継承の100%の力、究極悪魔化となっていた。
バチバチと電光が僕を包み込み、僕はジンに指差して言った。
「その未来、俺が変えてやる!本番はここからだ‼」