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悪魔の継承  作者: 夜海 来火
最終章 二人の魔術師
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213話 数多き戦友

「レアルがなんで関係するんですか⁉」

と僕は聞くと、鎖で拘束されているジンはニヤリと笑い、答えた。

呪憎裏(プロミス)を解くのさ」

「でも、レアルは呪われた小悪魔だ。レアルの呪憎裏(プロミス)を解くには隼人が呪われなければならない!無理です!」

とレンは言い切ると、ジンは二人に言った。


「レン、隼人。悪魔化したお前たちはもはや一心同体。レンは死ぬ前に世界を四つに分け、転生の魔術を発動した。このことはレンは覚えてないだろ?」

レンは少し黙り、そして答えた。

「確かに、俺はまだ “最強の魔術師”となった後の記憶が無い。それがどうかしましたか?」


「お前が最期に松田隼人として生まれ変わるために発動した魔術、転生の魔術も呪いの一種だ。発動対象者は一度死ぬ」

とジンは答えると、僕はあることを思い出した。



そう、天魔の聖堂でもう一人のジンと戦うときに、奴は最強の魔術師の遺品を持っていたのだ。


「つまり、もう一人のジンが持っている遺品を奪えば、レンは記憶を取り戻し、僕は正式に呪われたことになるということですか?」

と僕は聞くと、ジンはうなずき、答えた。


「そういうことだ」






一方、朱希羅と江川とセレシアは解き放たれた大量の死神(デスパーソン)たちを相手にしようと待ち構えたが、死神(デスパーソン)たちはそんな江川たちをスルーし、山のふもとの街へと飛んで行ってしまった。


そして三人が取った行動とは!



「よし、朱希羅!慎重に扱えよ!」

「どこかの谷にでも落としたら容赦せんぞ!」

と江川とセレシアは言うと、二人は横に倒れ込み、頭を抱えた。

すると朱希羅はうなずき、両手を合わせた。


「いくぞ……!時間停止(タイムストップ)!」


すると、時間が止まった。

街でも死神(デスパーソン)の動きは静止しているはずだ。

もちろん江川とセレシアも動かない。


「よ~し……」


と朱希羅は言うと、江川とセレシアを軽く蹴り転がしながら下山して行った。

無茶苦茶だが、これが最善だと思われるだろう。


時間も掛からず、三人同時に移動できる方法だ。


時間が停止したこの世界で動いているのは朱希羅と坂道を転がっている江川とセレシアだけだった。





そのころ、ジンの異空間では鎖で拘束されたジンが僕に話しかけた。


「松田隼人。君たちを巻き込んでしまったのはとても悪いと思っている。だが、世界のために、もう少しだけレンとともに戦ってくれ」

と言うと、鎖で拘束されながらもジンは頭を下げた。

「頭を上げてください。俺もあなたたちに会えてよかった……!後悔はしていません!俺の仲間も同じです!」

と僕は言い、ニッと笑った。

レンもそんな僕を見て嬉しそうに笑ったとき、ジンはレンに話しかけた。


「レン、これが……最後の修行だ」

「はい!行きます!ジンさん!」


とレンは言うと、僕たちは再び一つになり、気がつくと異空間は消え、もう一人のジンの部屋にいた。


目の前にはもう一人のジンが立っていた。

鬼神化した僕のパンチがジンの顔面にヒットしていたのだ。

「おのれ!」

とジンは言うと、僕を殴り飛ばし、半身を覆っている氷を手から炎を生み出し、溶かした。



『今までの出来事は一瞬だったのか⁉』

と隼人は言うと、レンはもう一人のジンを見て心の中で思った。

(奴の中にジンさんが……、俺の師が……、俺の兄さんがいる!)


そしてレンは昔を思い出した。

そう、ジンと夜中にたき火の前で会話していたときのことを。



『レン、俺とお前は血は繋がっていないが、俺はお前を、世界でたった一人の弟だと思ってる』

『俺がジンさんの弟?……あははは!』


とレンは笑い出すと、ジンはレンに問いた。


『なんで笑う⁉なにがおかしい⁉』

『嬉しいんです。ジンさん。あなたの弟で、あなたの兄弟で!』




そのことをレンは思い出していると、隼人がレンに聞いた。

『おい!レン、大丈夫か!』

「すまん、大丈夫だ!行くぞ!」


とレンは答え、鬼神化した僕は戦闘態勢になると、ジンも戦闘態勢になり、僕たちに言った。

「たった二人で何ができる!ガキどもが!」


「二人だけじゃないぜ!みんなの思いも一緒だ!」

と僕は答えると、ある声が僕たちに聞こえてきた。


「一緒なのは思いだけじゃないぜ!」


すると、ジンさんの部屋にホールで休んでいた真司やラース、黒鳥に天真に聖弥に康彦、ルリやデリット、そしてレアルが現れた。


「みんな!」

と僕は後ろを振り向き、みんなを見て言った。

そして、真司のとなりに狩武が歩いてきた。

「ケガは大丈夫なのか⁉」

とルークさんは狩武に聞くと、狩武は「大丈夫だ」と言い、僕を見て言った。


「行こう、兄さん!レン!」

「みんな、ありがとう!」


と僕は言い、再びジンを見て行った。

「俺たちはお前と違って、一人じゃない!人間は一人じゃないから強いんだ!」


「俺も、一人で戦っているわけではない。俺の中にいるもう一人の……」

とジンが自分の身体を親指で指差すと、僕はジンを指差して言った。


「お前はジンさんを利用しているだけだ!お前の中にいるジンさんは、俺の仲間だ!」


「フン、まぁいい……。この最終戦ですべてを終わらせる!」

とジンは言うと、僕はみんなに言った。


「いくぞぉ‼」



数多き戦友!ここにあり!




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