212話 四つの世界
謎の異空間に飛ばされた僕とレン。
そして、僕たちの目の前にいたのは身体中が鎖で拘束されていたジンだった。
そのジンから僕たちは衝撃の話を聞いた。
ジンは二人いるということを……。
そして、今、善のジンが悪のジンの秘密を話そうとしているのだ。
「今から、この世のすべて、そしてもう一人の俺のことを話す。奴を倒す方法もな」
と鎖で拘束されているジンは言うと、レンは疑問があったらしく、ジンにすぐに聞いた。
「なんで、この世のすべてまで話すんですか?」
「まぁ、聞いていてくれ」
とジンは答え、すぐに話を語り始めた。
「さっきも言ったが、もう一人の俺は幼少のころにこの時代の神の扉を開け、松田隼人が生まれる少し前の時代にワープしたんだ」
するとレンは言った。
「そして、そこである家族に拾われ、息子のように育てられ、呪われし小悪魔 カルラに出会った……」
すると僕も口を挟んだ。
「そして、ジンはカルラの呪憎裏を解くために自分を怪物の姿へと呪いをかけた……。ですよね?」
するとジンが答えた。
「ああ、その後、また神の扉を開き、神話時代に戻ってきたんだ」
「そして、呪われたジンは宅配しようとしていたジンさんに会った」
とレンは続きを言うと、ジンが指摘した。
「いや、ちがう。奴はある方に会ったのさ」
「ある方?」
と僕は聞き返すと、ジンは答えた。
「ヒュードラッド仙人だ。ヒュードラッド仙人はもう一人の俺の魔術士のセンスを感じ、何年間かもう一人の俺に魔術を教え込んだのだ」
「じゃあ、ヒュードラッド仙人がジンに魔術を教えたということは、ヒュードラッド仙人はジンと同じ魔術を扱うことができるということですか⁉」
とレンは聞くと、ジンは答えた。
「いや、ジンの魔術はジンが自ら創り出した魔術。ヒュードラッド仙人はジンに魔力を扱うことを教えたのだ」
「そしてジンさんとジンは会ったということですか?」
とレンは聞くと、ジンは答えた。
「そうだ。きっと奴が未来からこの世界に来るときに時空間が歪み、二人の俺が同じ世界に現れたのだろう……」
「それとこの世のすべてがどう関係あるのですか?」
と僕は聞くと、ジンは答えた。
「松田隼人。君がいた時代では世界は全部で四つあって、人間界、悪魔界、天空界、死神界がなかったか?」
「はい、四つありました」
と僕は答えた。するとジンは僕に言った。
「君も気づいているとは思うが、この神話時代には人間界も悪魔界も天空界も死神界も無いのだよ」
「え⁉」
と僕は驚くと、ジンは答えた。
「無いと言うより、まだ現れていないと言ったほうがいいかな?この神話時代の世界は一つ、“世界"しか存在しないのだよ」
僕は質問した。
「じゃあ、四つの世界は誰が創ったんですか⁉それもジンが⁉」
「いや、四つの世界を創ったのはレンさ」
とジンは答えると、レンは混乱していた。
無理もない。レンはまだ最強の魔術師になって、スフォルザントと戦うまでの記憶が無いのだから……。
ジンはレンに教えるように答えた。
「レンは、世界を滅ぼそうとした俺を止めるために、最強の魔術師になり、俺と戦った。そして、その戦いでレンは圧倒的に負けてしまったのだ」
「もう一人のジンは強い……。なんとなく圧倒的に倒されてる自分が想像できますよ」
とレンは言うと、ジンは話を続けた。
「だが、レンは死ぬ前にこの世を大きく変える魔術を発動したのだ」
「この世を変える?」
と僕は聞くと、ジンは答えた。
「レンはこの世界を四つに分散させたのだ。そして、この世界の人間を二つに別れさせた。正義の心を持つ者は天空界に、悪の心を持つ者は悪魔界に、人間らしい心を持った者は人間界に……。そして、ジンを死神界に封印した」
「え⁉でもレンが死んだのって……、この時代の一年くらい前ですよね?」
と僕は聞くと、ジンは答えた。
「時間差で発動する魔術だ。この世界が四つに別れるとき……それは今日の0時だ」
「今日の0時って……あと3時間しかない!」
とレンは言うと、僕は聞いた。
「あと、3時間で奴を倒さなければいけないんですね?」
「そうだ。もう人類死神化計画が始まっている。奴は世界が別れる前に人類を支配し、死神界を自分で創り、死神の王国でも造る気だ。だが、そんなことはさせてはダメだ」
「それで……奴を倒す方法は?」
とレンは聞くと、ジンはニヤリと笑い答えた。
「呪われし小悪魔 レアル君の呪憎裏を解除するんだ」