210話 右目開眼!
「ルークさん、狩武を頼みます」
と悪魔化した僕は言うと、ジャックは僕たちに言った。
「俺がさっき空中で奴に攻撃を仕掛けたとき、奴の左目だけではなく、右目も変化した!」
「右目も⁉左目だけじゃないのか⁉」
と僕は聞くと、ジャックはジンを見て答えた。
「今の奴の左目は未来を見る眼……。そして今変化した右目は……お前と同じ悪魔化した眼だ!」
とジャックは僕に言うと、僕はジンの右目を確かめた。
するとジャックの言うとおり、ジンの右眼は僕の悪魔化した左眼と同じだった。
「答えろ!なぜお前が悪魔化した眼を持っている⁉」
と僕は聞くと、ジンは答えた。
「そもそも悪魔化とは俺が創り出した身体変化術だ。かつて俺がレンに教えた体術の一つに悪魔化がある。レンはその悪魔化を悪魔武器として作った。お前が身につけているその悪魔の継承がそうだ」
「悪魔の継承は狩武の力から生まれたと聞いたが⁉」
と僕は聞くと、ジンは答えた。
「そんなことはない。お前らはこの世界のすべてを知らない。すべてを知っているのは、この俺だけだ」
「とにかく、奴を倒すぞ!悪魔化した眼の特徴をおしえてくれ!」
とジャックは悪魔化した僕に聞くと、僕は答えた。
「悪魔化した眼は相手の細かい動きをはっきりと見ることができる。相手の足を踏み出す位置やパンチを放つ場所。俺と同じ眼なら、相手の動きをすべてを見切ることができる」
するとジャックは僕に言った。
「おいおい、未来を予知する眼と動きを見切る眼かよ!攻撃をどう当てるんだ?」
「それを考えてくれ」
と僕は言うと、僕はジンに向かって走り出した。
「さて、早くこの戦いを終わらせないとな」
とジンは言うと、僕はジンに向かって衝撃波を放った。
しかし、ジンはその衝撃波を避けながら心の中で思った。
(レンが余計なことをする前に……)
『レン!ダメだ!悪魔化じゃジンにはかなわない!鬼神化するぞ!』
と隼人は言うと、レンは答えた。
「了解!」
すると僕は鬼神化し、銀色の角が生え、戦闘力が跳ね上がった。
『ジンと戦うにはおそらく連続でタイミングをずらしながら戦うか、背後からの攻撃を仕掛けるか。だな』
と隼人は言うと、レンは答えた。
「奴の未来を見る力も、見切る力も、視界の中に見えるものじゃなければ意味ないしな。背後から攻撃を仕掛け、殴り合いになったらタイミングをズラしながら殴るしかねぇな!」
とレンは言うと、ジャックがジンに向かって走り出した。
「俺は武器は持っていないが、魔術なら使える!」
とジャックは言うと、魔法結晶を取り出した。
「それは!」
とジンは言うと、ジャックはジンに向かって魔力で生み出した無数の氷の刃を放った。
ジンは氷の刃をものすごい姿勢になり、すべて避けると、今度は僕がジンに向かってジャンプし、上空から攻撃を仕掛けた。
「うおおおお!」
と僕は言い、上からパンチを放ったが、ジンは片手を上にあげ、僕のパンチを受け止めていた。
ニヤリとジンは笑うと、僕もニヤリと笑った。
僕の片方の手にはジャックが放った氷の刃が握られていた。
そして受け止められた手でジンの身体をつかみ、そのまま氷の刃で斬りかかった。
しかし、やはりジンは氷の刃をつかみ止めた。
すると僕はジャックをチラッと見て、氷の刃を手から離した。
するとジャックは手を合わせ、何やら魔術を発動しようとしていた。
「まさか⁉」
とジンは言うと、ジンがつかみ止めた氷の刃が増殖し、ジンの半身が氷に覆われ動かなくなってしまった。
「く……くそがッ!」
とジンは言うと、僕はジンの身体をつかんだまま思い切り顔面に左手でパンチを放った。
「おらぁ‼」
僕のパンチがジンの顔面に直撃した瞬間、僕とレンは意識が吹っ飛んだ。
気がつくと、真っ白の空間に僕とレンはいた。
二人の身体はちゃんと二人に分離していた。
僕たちは何もない異空間にいるのだ。
「ここは?」
と僕はレンに聞くと、レンは答えた。
「わからない。どこかの異空間だ」
すると、ある声が聞こえた。
「ここは俺の精神の異空間だ」
僕たちの前に現れたのは鎖が身体中に結びついていたジンだった。