207話 誓われた絆
閻を何とか倒した江川と朱希羅。
セレシアも目を覚まし、三人は休養を取り、ジンさんのいる城に突入する準備を始める。
一方、デューラとの戦いで悪魔化ができなくなってしまった僕は、突然、意識が天魔の門の異空間に飛んでしまった。
その異空間にいたのは、僕だけではなかった。
僕の目の前にいたのは、僕の前世であり、最強の魔術師のレンだった。
レンが僕に言った。
「松田隼人、君も気づいていると思うが、俺は君の……」
「お前は俺の前世なんだろ?すべてジンさんから聞いたよ……」
と僕は言うと、レンは僕に向かって頭を下げ言った。
「本当にすまなかった!俺は君を巻込んでしまい、君の知り合いまで巻込んでしまった!俺は今まで君の身体を借りて戦っていた……。俺は君の身体を支配していたなんて気づかなかった!だが、記憶を取り戻すことによって俺は気づいた!俺は松田隼人じゃないと……。俺は君の身体を利用していたということを!だから……俺に君の身体を支配する権利はない……」
「そんなことないさ」
と僕は言うと、レンは頭を上げた。
僕はレンに言った。
「俺はケンカも弱くて、あまり目立たない存在で、地味で、何にも取り柄がなかったんだ。だけど、お前がいてくれたから、俺には今はたくさんの仲間がいる!お前も含めてな!だから、俺はお前といっしょに戦いたい。俺がお前の存在を打ち消すのではなく、お前が俺の身体を支配するのではなく、いっしょに戦いたいんだ。レン」
と僕は言うと、レンは僕を見て言った。
「ありがとう、隼人。いっしょに戦おう」
「あぁ……」
と僕はレンに言うと、天魔の門の門が開き、僕は意識を取り戻した。
「ぐあああ‼」
と聖弥が僕の真横に吹っ飛んできた。
「大丈夫か⁉聖弥!」
と僕は聖弥に言うと、デューラは僕に言った。
「意識を取り戻しましたか。悪魔化はできるようになったのですか?」
僕は周りを見渡した。
ホール内の壁や床に鋼鉄のトゲが刺さっていて、皆力尽きて倒れていたのだ。
「皆‼無事か⁉くそっ‼」
と僕は言うと、僕の心の中にある声が聞こえた。
『大丈夫だ、彼らは気絶しているだけだ』
「その声はレン⁉」
と僕は聞くと、デューラは僕に言った。
「一人でなにをごちゃごちゃ言っているのですか?今、楽にしてあげますよ‼」
するとデューラは鋼鉄のトゲを僕に向かって放った。
だが、鋼鉄のトゲが衝撃波で砕け散ってしまった。
「なに?」
とデューラは言うと、僕は答えた。
「一人じゃねえよ」
そこには悪魔化した僕がいた。
そう、今の僕はレンなのだ。
「悪魔化……。今のあなたはレンですね」
「隼人もいっしょだ」
と僕は言うと、僕たちはお互いに言い合った。
「行くぞ……隼人!」
『行くぞ……レン!』