206話 守るための力
「閻、お前を倒すために、俺は悪魔の力を求めた……。だが、今はお前を倒すことだけが、すべてではないんだ……」
と死神の黒刀Ⅱを持った朱希羅は言うと、朱希羅は天井を見上げた。
天井にはステンドグラスがあり、そのステンドグラスには最強の魔術師の姿が描かれていた。
「俺は今……、仲間たちのために戦っている。仲間を守るために力を求めている。今の俺は昔とはちがう!」
と朱希羅は言うと、朱希羅は少し前を思い出した。
そう、鬼神化した僕と悪魔界で戦ったときのことを思い出したのだ。
「俺が力を求める理由。すべては復讐のため、そのためなら悪魔に魂を売ってでも復讐を成し遂げてやる!」
と朱希羅は言うと、僕が朱希羅に言った。
「復讐なんて、そんなの成し遂げて何になる…?弱い人間の言い訳じゃないか…。」
「お前に何がわかる!?俺はあいつを許せない!それに俺を絶望から救ってくれたのは、魔神の三悪魔の一人、ラーシのおかげだ。あいつからこの武器をもらってからすべて変わった。俺を絶望から救ってくれたこの力で必ず復讐を成し遂げる!そしてラーシの妨げとなる者は全て排除する!それが俺と悪魔との絆だ!」
「そんなの、絆でも何でもねぇ‼」
と僕は答えていた。
そう、これは鬼神化を習得した直前の僕との会話だ。
時は戻り、神話時代。
朱希羅は死神の手で抑え込まれている閻に言った。
「あいつは、俺にまた光を照らしてくれた。あいつが伝説の英雄、最強の魔術師の生まれ変わりというのも納得がいく……。いいか?閻」
と朱希羅は聞くと、死神の黒刀Ⅱを閻の脳に突き刺し、言った。
「俺はまだまだ強くなる。大切な人を二度と失わないために……」
そのころ、ジンさんの城ではデューラと天真たちが戦っていた。
だが、僕は悪魔化できなくなってしまった。
一体、何が起きているのか、僕はわからなかった。
「隼人!戦えないなら下がってろ!」
と天真は言うと、デューラは天真と僕に向かって無数の鋼鉄のトゲを放った。
「終わりです‼」
「させるかッ‼」
と真司は言い、矢を放ち鋼鉄のトゲを破壊したが、全部破壊できなかった。
「くそ!隼人に当たる!」
と真司は言うと、鋼鉄のトゲが突然砕け散ってしまった。
「なんだ?」
と真司は言うと、ラースが答えた。
「僕の悪魔武器、魔弾の蝶々さ」
とラースは言うと、ラースの肩に漆黒の蝶々が止まった。
「なんだ……あの悪魔武器は……」
と康彦は言うと、ラースは説明した。
「この蝶々が放つ卵。それは魔力で練り込まれた爆弾なのさ。放たれてから数秒で爆発する。蝶々型無限爆弾製造武器さ」
するとデューラは笑いながら、ラースに言った。
「たかが虫が……、ならあなたから‼」
とデューラは言い、ラースに向かって無数の鋼鉄のトゲを放ったが、ラースは蝶々を肩に乗せ、ヒラリと鋼鉄のトゲを避けた。
僕は悪魔の継承に念を込めていたとき、突然意識を失った。
気がつくと、僕はいつしか訪れた異空間にいた。
そう、天魔の門の目の前にいたのだ。
そこにはもう一人、誰かがいた。
「お前は!」
と僕はその人を見て言うと、その人は僕に言った。
「はじめましてだね、松田隼人」
「はじめまして……レン」
そう、僕の目の前にいたのは最強の魔術師、レンだった。