193話 狩武vsアルべラム
「お前を倒して、さっさとスフォルザントを倒す。お前たちがこの俺をこの世界に連れてきて、能力を活性させたのは間違いだったな。この間違いはしてはいけない間違いだった。なぜならその間違いで、お前たちは死ぬのだからな」
と狩武は言うと、アルべラム大臣は剣を創りだした。
「その剣は、幻か……」
「私もカルラほどではないが剣術を有していてね」
とアルべラムは言うと、腰に身に着けている本物の剣を引き抜いた。
「これは魔覇の神剣という世界に3つしかない天魔武器の一つでね。神に選ばれた者しか使いこなすことはできない。そして私は、スフォルザント様という“神”に選ばれた者!天使と悪魔の中途半端な存在なんかに敗れはしない!」
とアルべラム大臣は言うと、幻でできた剣と魔覇の神剣を構え、天真に向かって走り出した。
「……その二本の剣のどちらかが偽物……。ちっ、どちらも外見は同じか……」
と狩武は言いながら、空中に飛び、アルべラムがいる床に向かって光線を放った。
ドカンンン!!
とホール内で爆発が起きた。狩武は背中に生えている翼で宙に浮きながら、アルべラム大臣を探していた。爆風の中にいなかったのだ。
「どこに消えた……!?」
と狩武は言いながら探していると、ホール中にある声が響いた。
『何も武器を持たないお前では……天使と悪魔の中途半端な存在では私には勝てない』
「どこだ!!でてこい!!」
と狩武は怒鳴ると、狩武の背後から声が聞こえた。
「君に勝機はない」
「……後ろにッ!!?」
と狩武は言い、背後を振り向くと、そこにはアルべラム大臣がいた。宙を浮いているのだ。
アルべラム大臣は剣を振り下ろしたが、狩武は瞬時にその攻撃を避け、ホールの床に着地した。
「……どうやって飛んでんだ……?」
と狩武は宙に浮いているアルべラムを見ながら言うと、アルべラム大臣は狩武に言った。
「何ならこうしよう」
するとホールが滅びだし、空間が歪み、狩武とアルべラム大臣がいたホールはもはや異空間となっていた。
「おいおい、俺はこういう場所は嫌いなんだ」
と狩武は言うと、アルべラムは宙を飛び、狩武に向かって剣を振った。
しかし、狩武は剣を避け、剣を持っている左手を蹴り上げ、剣を弾き飛ばした。
しかし、アルべラム大臣はニヤリと笑い、言った。
「それはフェイクだ!」
するとアルべラム大臣は右手に持っている剣を振った。
狩武は避けようとしたが、避けきれず、右肩を斬られてしまった。しかし、切り傷は浅くそれほど重傷ではなかったが、出血がかなり出た。
「まさか今まで振ってた剣はすべて幻だったとはな……。まんまと罠にハマったぜ……」
と狩武は切り傷を押さえながら言うと、アルべラム大臣は一本の剣を構え答えた。
「そう、たとえ幻と気付いてはいても、もし本物なら……と判断する。すると避けても意味がない攻撃を避け、隙を生んでしまう。その恐怖心は止められることは無い。恐怖心によって隙を生ませ、確実に相手を斬る。君はこの恐怖から逃れられないのだよ」
とアルべラム大臣は言うと、もう片方の手に幻で創りだした剣を構えた。
狩武は不利な状況の中、アルべラム大臣に一言言った。
「言ってろ、お前が何を言おうと、お前の敗北は変わらない」