表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔の継承  作者: 夜海 来火
最終章 二人の魔術師
198/231

191話 深緑の民

「グランジュルさん!!」

 と天真は大声を上げながら、深緑の神殿の中に入った。


「お前……俺の名前知ってたのか?」

 と神殿の奥にいた大男、グランジュルは言うとラーシはグランジュルに聞いた。

「なんでここに!?それにあの遺言のような手紙は一体!?」

「あぁ……この神殿はこの森の生命そのものでな。この神殿がこの森の礎なのだ。だが、この神殿の核であるこの樹木が枯れかけてしまったのだよ……」

「つまりその樹木が枯れたらこの神殿は力を無くし、この森も滅びるということだな?」

 と天真は言うと、ドラッグが天真たちに言った。

「だったら、この大樹の種を植えれば!」


「それがダメなんだ」


 とグランジュルは答えると、ラーシがグランジュルに聞いた。

「なんでダメなんですか……?」

「大樹の種を植えてから芽が生えるまでものすごい年月がかかる……。芽が出る前に森が枯れてしまう。なら、どうすればよいか。俺はお前たちに大樹の種を取りに行かせてから、ずっと考えていた。そして、一つの可能性を見つけた」

「可能性?」

 と天真は聞くと、グランジュルは答えた。


「深緑の民は自然と一体化し、永遠の大樹として生き続けることができる」


「それって……大樹になるってことですか!?」

 と天真は聞くと、グランジュルは答えた。

「そうだ。深緑の民は俺が最後の生き残り。俺もみんなの下へ行ける。お前たちはなぜこの神殿に来た?」

 といグランジュルは聞くと、天真は答えた。

「グランジュルさんを助けるのと、この神殿の聖水を取りに来ました」

「助ける?」

 とグランジュルは聞くと、ラーシは答えた。

「どうしてもあなたが犠牲にならなければいけないんですか?」

「あぁ、もう決めた。俺も長生きし過ぎた。もう充分だ。覚悟はできてるだから邪魔しないでくれ」


 とグランジュルは言うと、枯れかけた樹木に手を添えた。


「お前ら、よく見とけ。深緑の民は魔術を使うことができる」

「魔術!?」

 と天真は驚いて聞くと、グランジュルは答えた。

「魔術といっても我々が使える魔術は生命エネルギーを自然物に分け与えるだけだがな」

 とグランジュルは言うと、グランジュルの身体が輝きだし、その光は枯れかけた樹木の中に入って行った。

「この神殿の聖水を持って言っても何も害は無い。安心して持って行け」


 とグランジュルは言い、樹木と一体となった。

 樹木は急成長し、大樹となり、大樹の根の部分からきれいな水があふれ出てきた。


「これは……、聖水なのか?」

 と天真は言い、ラーシはその聖水をビンの中に入れた。

「よし、天真の聖堂に戻ろう」

 とラーシは言うと、デリットが二人に言った。

「ひょっとしたらさっきの大男の魂はその聖水の中に入るのかもな」


「……あぁ、そうだな」

 と天真は言い、三人は深緑の神殿から天真の聖堂へと向かった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ