186話 狩武再来!!
「さて、そろそろ彼が来る頃だな」
とジンさんは言うと、朱希羅は聞き返した。
「彼?」
そのころ、現代では悪魔界で最も高い山の頂上に建設された神殿で、死神が二歳児の狩武を抱え、神話時代の入り口、“神の扉”を開いた。
「うわあああん!放してよぉ!」
と二歳児の狩武は泣き暴れていたが、死神はそのまま抱えながら、神話時代へと転送された。
そのとき、神話時代の“天魔の聖堂”の天井近くに床と平行に光り輝く扉が現れた。
「何だアレは!?」
とマースさんは言うと、アルべラム大臣が答えた。
「君たちのよく知る人物だよ」
「なんだと?」
と天真は言うと、天井近くの扉から黒っぽい物が落ちてきた。
「アレは……!!」
と朱希羅は言うと、マースさんが答えた。
「死神だ!!しかも何かを抱えている!!」
すると悪魔化した僕は死神が抱えている物を目を細めて見た。
そして僕は死神が抱えていたものの正体がわかった。
「か……狩武!」
と僕の悪魔化が解け、精神はレンではなく僕に戻った。
「狩武をなぜこの時代に!?」
と僕はジンさんに聞いた。するとジンさんは死神が抱えている狩武の頭を手で抑え答えた。
「君はかつての松田狩武を悪魔の邪眼の重力で記憶を二歳児まで遡らせたようだね、松田隼人。なら、それと逆のことをすればどうなるか?わかるかね?」
「逆のこと……まさか……!!」
と僕は言うと、ジンさんは技鏡の能力を使い、僕の悪魔の邪眼の重力をコピーし、二歳児の狩武の記憶を元に戻していった。
「うわああああん!」
と泣き叫んでる狩武は徐々に大人しくなり、気が付くと青年の姿になっていた。
「君が、松田狩武だね?」
とジンさんは聞くと、狩武は周りを見渡して一言言った。
「………………ここは……」
「神話時代という太古の世界だ。私はこの世界の神となろうとしている。争いの無い世界を築き上げようとしているのだ。だが、君の兄弟の松田隼人が私の計画の邪魔をしているのだよ。君も松田隼人には恨みがあるんだろう?力を貸してくれないか?」
とジンさんは聞くと、狩武は僕を見て答えた。
「あの日……俺は日本国際ホテルでお前に負けた……隼人。なぜだ?なぜ俺を殺さなかった?」
「まさか、赤ん坊になってからの記憶がないのか!?」
と僕は言うと、ジンさんが狩武に言った。
「狩武、松田隼人はお前の能力を利用しようとしたのだ」
「狩武!そんな奴の話に耳を傾けるな!」
と僕は言うと、ジンさんは狩武に言った。
「松田隼人がお前を倒したのは事実。狩武、奴を倒せば我々は真の平和を手にできるのだ」
とジンさんは狩武に言うと、狩武は目を閉じて答えた。
「……いいだろう。奴を倒せばいいんだな?」
「狩武!」
と僕は説得しようとしたが、狩武の背中から天使と悪魔のような翼がそれぞれ生え、僕に向かって高速のような速さで襲い掛かった。
「悪魔化が間に合わないッ!!」
と僕は言うと、狩武は空中で動きが止まってしまった。
「……これはその眼か」
と狩武は僕の眼を見て言った。そう、僕が悪魔の邪眼の重力で狩武の動きを止めたのだ。
僕は狩武の動きを止めながら、話しかけた。
「狩武、俺の話を聞いてくれ!」
「聞く必要は無い。お前がその眼を持っているのなら、お前は敵だ。弟よ」
と狩武は答えると、僕に空中で手を向けた。
すると狩武の手から電光がバチバチなった。
「これは……魔術!?」
とジンさんは言うと、狩武の手から雷撃が僕に向かって飛んだ。
「クソッ!」
と僕は言うと、僕の前に一人の男が現れた。
そしてその男は雷撃を何かで防いだのだ。
「誰だ!?」
と狩武は言うと、僕は自分の前にいる男が何者なのかわかった。
「お前は……!!」
「俺がずいぶん前から呼んで置いていたのさ、江川 隗のヘリコプターに乗る前からな」
とデリットは言うと、その男は雷撃を防いだ番傘を閉じた。
「久しぶりだな、デリット」
とその男は言うと、狩武はその男を見て言った。
「その亡霊の番傘……お前は……村川漢頭……」
「よぉ、狩武。会うのはホテルでの戦い以来か?」
と漢頭は言うと、狩武は漢頭に言った。
「フン……闘る気か?」
するとジンさんが狩武に言った。
「狩武、少々計画が狂った。我々は元々話をしにきたのだ。アジトに戻るぞ」
とジンさんは言うと、死神とアルべラム大臣と閻は黒いオーラに包まれ、消えてしまった。
「行くぞ」
とジンさんは狩武に言うと、狩武とジンさんも黒いオーラに包まれ消えてしまった。