179話 それぞれの再会
「お……お前たちは!セレシアに聖弥!それにラース!」
と町の路上のど真ん中で再開した者たち。
デリットはそう言うと、セレシアは三体の小悪魔を見て言った。
「お前達は一体どこに飛ばされたんだ?」
「最初、この神話時代に転送されたときはあるお城の城下町に飛ばせれてな、兵士たちから逃げてこの町にたどり着いたんだ。お前たちは?」
とレアルは今までのことを説明すると、聖弥が答えた。
「こっちは大変さ、あの火山の中に建設された神殿に飛ばされて、さっき下山してきたところだ。ついでに温泉に入って今、温泉上がりに情報収集でもするか。って思ったらお前たちがいた。みたいな?」
「そうか、とりあえず宿に戻ろう。これからのことについて話し合わねばならん」
とデリットは言い、セレシアたちは宿へと戻って行った。
一方、天真とラーシは砂漠の上に建設されていた施設の中に入って行くと、そこには驚くべき光景があった。
天真たちの目の前で軍人のような人と、どこかで見覚えのある人たちが闘っていたのだ。
「せ……戦闘!?」
と天真は驚いたとき、軍人のような人が言った。
「どうした!さっきより動きが遅いぞ!」
と軍人は言うと、一人の男が殴り飛ばされ、施設の壁の方向に飛んで行った。
しかし、その男は壁を蹴り、また軍人に向かって剣を振り下ろした。
「あれって……マースじゃないか?」
とラーシは言うと、天真は目をかすめながら言った。
「あ!た……確かに!それに朱希羅と真司に黒鳥もいる!」
と天真は言っていると、真司はジャックから少し離れ、無数の矢をジャックの周辺に放った。
その無数の矢は空中で動きを止め、矢先をジャックに向けた。
「皆、散れ!」
と真司は言うと、朱希羅と黒鳥とマースさんはジャックから離れ、空中に浮いていた無数の矢がジャックに一斉に襲い掛かった。
真司の邪神の弓矢から放たれる矢は爆発力を秘めており、矢に衝撃があると爆発するのだ。
そのため、矢が直撃したジャックは爆炎の中に包まれた。
「やったか!?」
と朱希羅は言うと、マースさんは皆に言った。
「ジャックさんが膝を地面についたら合格だったよな……?」
「あぁ、膝をついていればのことだがな……」
と朱希羅は言うと、煙の中からジャックさんの姿が見えた。
「あ……!」
と真司は無意識に言っていた。そう、ジャックさんの片膝が地面についているのだ。
「よし!クリア!」
と黒鳥は喜んでいた。ジャックは四人に一言、言った。
「合格だ。とはいえ、なかなか手こずってただろうがな……」
「それはつまりまだまだってことですね?」
と黒鳥は聞くと、ジャックは答えた。
「そうだ。そんなことより、客が来てるぞ」
とジャックさんは言うと、天真とラーシの方向を向いた。
すると、やっと真司とマースさんと黒鳥は天真たちの存在に気づき、天真たちに向かって言った。
「天真!それにラーシじゃないか!」
そして、それぞれ再会を果たした。
一方、薄暗い雲の下の火山に建設されたスフォルザントの城では、牢獄の中に一人の男が囚われていた。
牢獄の檻の向こうに向かってアルべラム大臣が話していた。
「君の仲間たちは皆、無事だろうかねぇ?君も気にならないか?」
そう言うと、アルべラム大臣はニヤリとにやけながら言った。
「―――田辺康彦君」
とアルべラム大臣は牢獄の中で鎖で頑丈に拘束されている 康彦に言った。
「君は運悪く、神話時代に転送された場所が我々といっしょだった。我々にとっては好都合だがね、おかげで君が持つ天馬の棍棒から天使武器の力を分析できる。君はここでしばらく大人しくしていてくれたまえ」
とアルべラム大臣は言いながら、エレベーターに乗り、上に階に上がって行った。
「くそっ……ここから脱出する方法は……無いのか……?」
と康彦は言っていたが、康彦は何もすることができなかった。
手首には手錠がちゃんと閉まっており、手錠を壁に当て、壊そうとしても壁から鎖が繋がっており、その鎖が腕に絡まっているので、腕も動かすことができない。
おまけにしっかりと足にも鎖がからまっており、完全に動作不能な状態だった。
「スフォルザント様」
とエレベーターから出てきたアルべラム大臣は椅子に座っているスフォルザントに言った。
そう、アルべラム大臣はスフォルザントの王室にやってきたのだ。
「なんだねアルべラム?準備が整ったか?」
とスフォルザントは聞くと、アルべラム大臣は答えた。
「おっしゃる通りでございます。スフォルザント様が指名した7つの場所に、すべての3D映像出力装置を取り付けました。いつでもそれぞれの装置は起動できます」
「そうか、ごくろう。ではすぐに作業に取り掛かる。それと、矢崎 閻はまだか?」
「ただいま帰還しました」
と矢崎 閻が王室にやってきた。
閻はスフォルザントに報告した。
「トレニータウンに魂狩りしていた|死神(デスパーソンの様子を見に行ったら、たまたま武沢天真と憎まれし小悪魔のラーシに遭遇しましてね。警告をしてきましたよ」
「警告というと?」
とスフォルザントは聞くと、閻は答えた。
「神はもう降臨した。我らに逆らうことは破滅を意味する。我らが成そうとしていることこそ、平和なのだ。我らに逆らうのならば、我々は裁きの鉄槌を下すとね」
「そうか、ではアルべラム。始めるぞ」
「ハッ」
とアルべラム大臣は答えると、スフォルザントたちはある準備をした。