177話 海賊の襲撃
矢崎 閻と天真たちが会話しているころ、隼人たちの帰りを待っていたヤクザのボスのドラッグはルークさんの船の上でカモメを見つめていた。
聞こえる音はカモメの鳴き声と砂浜に流れる波の音だけで、かなり静かだった。
「兄貴たち、まだかな……、ってか今日の天気、良すぎないか?太陽がカンカンやなぁ……」
とドラッグはひとり言を言いながら、空を見上げた。
確かにこの日はかなり天気が良かった。雲が一つも無い。
そんなときだった。ドラッグには海の向こうの地平線の彼方に何かが見えたのだ。
「ん?あれは……」
とドラッグは言い、望遠鏡を覗くと、一気にドラッグは混乱状態に陥った。
そのころ、レンという少年の写真を見た僕たちは驚いていた。
なぜならそのレンという人の顔が僕とまったく同じなのだ。ただ違うところがあるとすれば、レンという人は白髪ということだけだ。
「確かにこれなら松田と間違えるよな……」
と江川は言うと、僕は江川とルークさんに言った。
「この人に会えば、レンっていう人に会えばすべてわかる。“最強の魔術師”がドラッグに渡した“ミサンガ”のことも、ひょっとしたら“最強の魔術師”のことも!」
「あぁ」
とルークさんはうなずくと、サラさんは僕たちに言った。
「しかし、レンは今どこにいるのか全く見当が付きません……。何も連絡してこないし……」
すると、サラさんの家に突然、村人が慌てた様子で入って来た。
「大変だ!海賊が来たぞ!もう村の前に!」
「えぇ!?」
とサラさんは動揺すると、江川は言った。
「任せてください、すぐに片付けます」
と江川は言い、僕と江川は外に出た。
村にはもう海賊が攻めてきていた。
村人が木製の斧を持って海賊と戦っているが、戦力に大きな差があった。
海賊の方がもちろん優勢だ。
僕は江川に言った。
「ドラッグが心配だ。お前はドラッグの援護に行けるか?」
「わかった」
と江川は言い、ドラッグがいた砂浜に向かって走り出した。
そして村人のほとんどがサラの家に避難し、
「ルークさん、サラさんを頼みます」
と僕はルークさんに言うと、ルークさんは答えた。
「あぁ、任せとき」
すると、僕は悪魔の継承で悪魔化し、言った。
「海賊ども、俺が相手をしてやる!!」
そして僕は海賊の群れにたった一人で突っ込んで行った。
「ガキの相手をしている暇はねぇ!!!」
と海賊たちは言い、剣を僕に向かって振ってきたが、僕の悪魔化した眼は海賊の攻撃を完全に見切っていた。
なので海賊の攻撃をスラスラと避け、どんどん海賊を殴り飛ばした。
殴り飛ばされ、池の中に沈む海賊もいれば、樹木に衝突し気を失う海賊がいた。
どんどん海賊が倒されていく中、ルークさんとサラさんにある会話が聞こえた。
「村長がいないぞ!」
村長とはサラの父親のことである。
「確か村長は村のはずれにある倉庫にようがあったはずだろ!?」
「まさか、まだそこに!!?」
という会話を聞いたサラさんはいきなり走り出した。
「な……どこに行くんじゃ!!?」
とルークさんは止めようとしたが、年寄だったため走ることができなかった。
そしてサラさんは倉庫の前にたどり着くと、そこに三体の海賊が歩いてきた。
「……ッ!!?」
とサラさんは海賊が現れたことに混乱していると、海賊がさらに訪ねた。
「お嬢ちゃん、この村の村長さんは知らないかい?」
「この村に何の用なの!?」
「今、質問しているのはこちらだ。礼儀をわかっていないな」
と海賊は言うと、剣をサラさんの頭上に振り上げた。
「あの世で礼儀を学んでくると良い」
と海賊は言い、剣を振り下ろした瞬間、悪魔化した僕が三体の海賊を高速のような速さで殴り飛ばした。
「サラ、待たせたな」
と悪魔化した僕は言うと、サラさんは何かに気付いた様子で言った。
「あなたは……?」
「話は後だ」
と悪魔化した僕は言うと、その周辺にいた海賊たちを殴り飛ばしていった。
そして、村は何とか死守することができた。
一方、ルークさんの船のあたりではドラッグと海賊たちが戦っていた。
「くそっ!数が多すぎる!」
とドラッグは言っていると、海賊の群れの中から、海賊船の船長と思われる大男が現れた。
「ガキ、この船を渡せば命だけは助けてやろう」
「誰がガキだ!この船は兄貴たちの物だ!誰にも渡さねぇ!」
とドラッグは言うと、ある声が聞こえてきた。
「その通りだドラッグ」
とその声の方向に大男とドラッグと海賊たちは見た。
すると森の中から燃えた海賊が吹っ飛ばされていた。そして森の中からあの男が現れた。
「あ……兄貴!」
とドラッグは言った、そう江川が援護で到着したのだ。
江川は大男に言った。
「来い、デカぶつ野郎。燃やしてやる」
「いいだろう、殺してやるぞ!」
と大男は言い、江川に襲い掛かって来た。