169話 刻まれた映像
僕が“ミサンガ”に触れた途端、突如、僕の頭の中にある映像が入って来た。
場所は森の中にある村で、その小さな村に住む僕と同じくらいの男と、金髪の男性が森の中で戦っていた。
「よし、今日の修行はここまでだ」
と金髪の男性は言うと、僕と同じくらいの男はウッス!と答え、二人とも村に戻って行った。
金髪の男性は村に向かって歩きながら、僕と同じくらいの男に聞いた。
「どうだ?“魔術”はだんだん様になって来たか?」
「う~ん、まだまだジンさん程じゃないけど……一応魔術は使えるかな……?」
と金髪の男は言うと、村の門番が二人に向かって言った。
「お~い!ジン!レン!お前たちが仕事しないで、森で修業してたから村長が怒っているぞー!今日は残業だってよ!」
「「なにー!?」」
と二人は言うと、二人は村長の家に行った。
コンコン、
金髪の男がドアをノックし、村長の家に二人は入ると、そこには小さい体格の村長と思われるおじさんがいた。
「お前たち……、ワシはお前たちに薪割りを頼んだはずじゃが……、お前たちはソレを放っておいて森で修業か……?」
かなりこの村長は怒っていた。すると奥の部屋からある女が現れた。
「おとうさん、それくらいにしたら?薪割りぐらいいつやってもいいじゃない」
と女は言うと、僕と同じくらいの男はその女に言った。
「いいんだサラ。元々修行してくれとジンさんに頼んだのは俺だ。俺が薪割りの仕事をします」
「良い根性じゃないかレン。わかった、今回は許そう。だが次やったら……わかってるだろうな?」
と村長は僕に言うと、僕と同じくらいの男は村長に挨拶し、さっそく薪割りを開始した。
時刻はもう深夜になり、フクロウの鳴き声が聞こえる中、たき火の近くで僕と同じくらいの男は薪割りをしていた。
「よし、あと140本!」
と僕と同じくらいの男は言い、次の薪を用意したとき、そこに一人の男が現れた。
そう、金髪の男性 ジンさんだ。
「手伝ってやるよ、一人で大変だったろう?」
「大丈夫です、あと少しだし……」
「俺は暇なんだ。暇つぶしにはいいだろ?」
とジンさんは言うと、僕と同じくらいの男 レンは薪を斧で割り、言った。
「ありがとうございます、ジンさん」
そして二人は順調に薪を割っていき、最後の薪を割ったとき、ジンさんは地面に倒れ込んだ。
「フゥ~、おわった~。そうだ!レン、確か明日はお前の誕生日だったな……」
「えぇ、とは言っても明日は後30秒くらいで訪れますけどね……」
「ん?」
とジンさんは言いながら、懐中時計を見ると、確かに時刻は後10秒くらいで深夜0時を迎えようとしていた。
そして数秒経ち、0時になりレンの誕生日が訪れた。
「おっ、もうお前の誕生日か」
とジンさんは言うと、レンにある物を渡した。
「これは?」
とレンは聞くと、ジンさんは答えた。
「この日のために作っておいた誕生日プレゼントの“ミサンガ”だ。知ってるか?解けたら願いが叶うっていうお守りだ。腕にでも付けとけ」
「ジンさん、ありがとう」
「礼はすんな、俺たちは兄弟のような仲だろ?今日からお前も16歳だな」
とジンさんは言い、その夜、二人はその場で地面に寝転がり、星を眺めていた。
「うわあああああ!!!……ハァ、ハァ、」
と僕は意識を取り戻した。
今まで森の中の小さな村にいたような感じだったが、今いるのはルークさんの船の中。
僕は少し混乱していた。
「どうした松田隼人!?」
と江川は聞き、ルークさんやドラックは心配しながら僕を見ていた。
「なんだ……?今の映像は……?」
と僕はミサンガを手に持ちながら言った。
今見た映像はなんだったのか……、レンやジンとは一体何者なのか……。
僕にはわからなかった。