168話 再会……!!
「え……江川!」
と僕は身体を起こし言った。残った最後の死神は江川を見て、警戒して言った。
「邪魔する者、殺す」
「やってみろ」
と江川は言うと、死神は無数の鎖を江川に飛ばしてきた。
江川はすべての鎖を避けたが、僕と同じように鎖が絡み合い、江川は拘束されてしまった。
「江川、大丈夫か!?」
と僕は江川を見ると、江川を拘束していた鎖が一瞬にしてドロドロに溶け出した。
そう、江川の悪魔武器、灼熱の素手から放出される炎によって鎖を溶かしたのだ。
灼熱の素手とは言っても実際は熱伝導するグローブにライターの火を付け、周りの酸素を吸収し、炎の出力を上昇させるという科学的なグローブなのだ。
「強ぇ……」
と僕は感心していると、江川はすぐに死神に向かって攻撃を仕掛けた。
「これで終わりだ!」
と江川は言い、死神の頭を掴もうとしたとき、死神は上空に飛び、江川の攻撃を回避してしまった。
「江川!そのまま手を上げろ!」
と僕は言うと、空に回避した死神を悪魔の邪眼の重力で江川の真上に落とした。
「燃やせぇ!!」
と重力で下に落としながら僕は言うと、江川はそのまま手を上に上げ、落ちてきた死神を燃やした。
死神は無言で溶けてしまった。
その頃、呪いの森に迷ってしまった天真とラーシはその森に住んでいる大男の手伝いをしていた。
その手伝いの内容はと言うと……。
「マジかよ……こんな遠い場所まで行くのか?」
と天真は地図を見て言うと、ラーシは大男に聞いた。
「この場所にその“大樹の種”があるの?」
すると大男は答えた。
「そうだ、この家の近くの大樹はもう枯れてきてな、その大樹からは木の実が良く取れるのだが、もう木の実なんて生えてこない。お前たちにこの場所にある“大樹の種”を持ってきてもらいたい」
「……まぁ、隼人たちも探さなきゃいけないし、いいだろう。約束は約束だ。出口をおしえてくれ」
と天真は言うと、大男と天真とラーシはその家を出て、森を突き進んで行った。
そのころ、ハームタウンでは夜が明けた。
「もう朝か~、まさかここで江川と合流するなんてな……」
と僕は背筋を伸ばしながら言うと、江川はドラッグに言った。
「ドラッグ、お前は俺について来い。部下たちはこの街の守護をしてくれ、また死神が来るかもしれないからな……」
「そんな……!ボスとお別れだなんて!」
と一人の部下が泣きながら言うと、ドラッグはその部下の胸ぐらをつかみ言った。
「バカ野郎!俺はてめぇをそんなひ弱く育てた覚えはねぇぞ!俺がいなくても、いないからこそ強くなれ!また酒飲んで平和に暮らすためにはそうするしかねぇ!俺がいなくても、泣き言を言うんじゃねぇぞ!わかったか!」
「「「ウッス!」」」
と部下たちは返事して、ドラッグとヤクザたちは別れた。
そしてルークさんの船に戻ると、ルークさんは江川とドラッグを見て言った。
「おっ!仲間と再会したのか?」
「はい、この眼鏡が江川 隗で、こっちがこの世界にきた江川を案内してくれたドラッグです」
「ども~」
とドラッグは言うと、江川は僕にある物を出した。
「松田隼人、これを」
「ん?」
と僕は江川が出してきた物を見た。
それはあの“ミサンガ”だった。
「それは……ミサンガ?」
「ただのミサンガじゃない。あの“最強の魔術師”がスフォルザントとの戦いの前にドラッグに託した遺品らしい」
「ドラッグに……!?ってことはドラッグは“最強の魔術師”に会ったのか!?」
「ウッス、とは言っても二年前なんスけど……」
とドラッグは言うと、江川はさらに説明した。
「どうやら“最強の魔術師”はドラッグに未来から来た者たちに渡せ。と言ったらしい」
「未来から来た者って俺たちのことじゃ……」
「そうだ。“最強の魔術師”は俺たちがこの世界に来ることをスフォルザントと戦う前から知っていたんだ……」
「そんなことが……」
と僕は言い、江川の手のひらにあるミサンガに触れた瞬間、突如頭をピキーンと割れる感覚が襲った。
「うわあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
と僕は無意識に叫んだ。何かが僕の頭の中にものすごい勢いで入って来たのだ。