167話 殺人鬼vs隼人
時刻はもうすぐ0時を迎えようとしていた。
僕は今、ルークさんの元教え子のホウネルさんに頼まれ、深夜に現れる殺人鬼の捕獲作戦を実行しようとしていた。が、たとえ捕獲したとしても報酬は無い。
そう、ただの頼まれ事なのだ。
《ジジ……どうだ?犯人は現れそうか?》
と僕が所持している通信機からルークさんの声が聞こえてきた。そう、ルークさんは船の中にいて、作戦を行うのは僕一人なのだ。
「わかりいません、今、街の道路を歩いてますが怪しいものは何もないです」
と僕は通信機のスイッチを押し、言うと、通信機から声が聞こえた。
《ジジ……そうか、油断はするなよ》
「はい、ところでホウネルさんは今、漁に?」
《ジ……らしいな、それほど夜の街には近づきたくないんじゃろう。よほど物騒らしいからな……》
「そうか……」
と僕が言った瞬間、
「きゃぁぁぁ!!」
とマンションのような建物の中から悲鳴が聞こえてきた。
「悪い、ルークさん。後で連絡する」
と僕は言うと、悪魔化し、建物の壁を垂直に歩いて行き、悲鳴が聞こえた部屋に窓から入った。
が、すでにそこには血で真っ赤に染まったワンピースを着た少女の死体と女性の死体が転がっていた。
「くそッ!遅かったか!」
と僕が言い、他の部屋を見た。
すると他の部屋には不自然に窓が開いている部屋があった。
「きっと犯人はここから脱出したのか!?まだそう遠くにはいないはず!」
と僕は言い、窓から飛び降りて、その辺りを探した。が、簡単には見つからなかった。
「くそ!これじゃあ見つかるわけねぇ!」
と僕は言うと、建物の屋上に上がり、上から殺人鬼を探した。
すると大通りを一人の男が走っている姿を確認した。
「アレか?」
と僕は言い、その男の目の前に飛び降りた。
「お前が殺人犯だろ?」
僕は男にそう言うと、僕はやっとその男の正体がわかった。
っていうか男ではなく、あの死神だった。
「お前は!死神!!」
「スフォルザント様の命令。この街の住民を殺す。邪魔する者も殺す。そして魂を奪う」
「そうか……街の人の魂を死神化させる気だな……!!」
「松田隼人、殺す」
と死神は言うと、さらに二体の死神が現れた。
「「「魂を奪う」」」
「三対一か……卑怯な奴らめ……」
と僕は言うと、一体の死神が僕に向かって鎌を振り下ろしてきた。
瞬時に僕はその攻撃を回避すると、もう二体の死神が僕に向かって鎖を飛ばしてきた。鎖の先端にはトゲが付いてあり、僕はその鎖を避け、一本の鎖を握った。
「うおおおお!!!」
と僕は雄たけびを上げ、鎖を持っている一体の死神をまるでオリンピックのハンマー投げように投げ飛ばした。
そして僕は振り向くと、そこには鎌を持った二体の死神がこっちに向かって飛んできていた。
「うお!!!」
と僕は瞬時に悪魔の邪眼の重力で自分を軽くし、空に飛び、攻撃を回避すると、その二体の死神の内、一体が鎌を構え、僕に向かって飛び、もう一体は無数のトゲ付きの鎖を僕に飛ばしてきた。
「よし……」
と僕は言い、荒々しいオーラに包まれた。
そう、鬼神化したのである。
「来いッ!」
と僕は鎌を持って飛んでくる死神に言うと、僕は無数の鎖を避け、鎌を持った死神の攻撃を避け、その鎌を持った死神を地面に蹴り落とした。
「どうだ!?」
と僕は地面に蹴り落とした死神を見ると、その死神の骸骨の頭は割れていて、その死神はピクリとも動かなかった。
しかし僕はハッと気付いた。
無数の鎖が僕の周りに飛んでいたのだ。
そしてその無数の鎖は絡み合い、僕をがっちりと拘束した。
「しまっ!!」
と僕は言った瞬間、僕は死神に地面に叩きつけられた。
「ぐッ!!」
と僕は地面に叩きつけられ、鎖で拘束されているため身動きが取れなかった。
二体の死神が身動きの取れない僕に近付いてきた。あの血で染まった真っ赤な鎌を持ち、ゆっくり近づいて来るのだ。
「クソッ!こんなところで死ぬわけには……!!」
と僕は言った瞬間、一体の死神は急にドロドロと溶け出してしまった。
骸骨の顔がドロドロになり、もはや骸骨は白い液体と化していた。
「な……なんだ?」
と僕は言ったとき、もう一体の死神はその場を離れた。
「松田隼人、どうやら苦戦しているようですね」
と誰かが僕に言ってきた。その人の手は激しく燃えていて、その人の背後にはたくさんの男たちがいた。
「お……お前は!」
と僕は鎖を解き、立ち上がり言った。
そう、そこに来たのはドラッグ率いるヤクザと江川 隗だった。
「死神は後一体、まぁ、師匠から授かった悪魔武器があれば一瞬なんだけどな……」
と江川は言うと、江川の手の炎がさらに激しく燃え上がった。
「さぁ、行くぞ。燃え尽くしてやるッ!!」