166話 かつての教え子
「ん?見えてきたぞ!そろそろ降りる準備しろよ!」
と元漁師で今はおじいちゃんのルークさんは僕に言うと、僕はルークさんに答えた。
「OK!で、その上陸する街ってなんていう街なんだ?」
「この世界で文化が特に発達した街、ハームタウンじゃ。きっとこの大陸のどこかに転送された者はこの街に着くじゃろう」
とルークさんは言い、その船はハームタウンの港に向かって進んで行った。
そのころ、大砂漠では……。
「ウオオオオ!!!!」
と黒鳥は再び魔獣化し、ジャックに攻撃を仕掛けていた。
「貴様ら……それでも悪魔の使いか?」
とジャックは言うと、黒鳥の攻撃を避け、黒鳥を蹴り上げた後、ジャンプし、そのまま黒鳥を地面に蹴り落とした。
「うわぁ!!!」
と黒鳥は言いながら、地面に墜落してしまった。
「それとも、悪魔の使いとはこんなものなのか?」
「さっきから悪魔の使いとはなんだ?何を言っている!?」
朱希羅はそう聞くと、ジャックは答えた。
「俺は貴様らのすべてを知っている。もちろん……松田隼人のこともな」
「……!!!隼人のこともだと……!?お前は何者だ!?」
「語る気は無い、それに、お前らを殺す気も無い」
「……なんだと!?」
「やはり、お前たちではまだまだあの方を守護できないな。俺がみっちり修行してやる。つべこべ言わずついて来い」
とジャックは言うと、車の中に入って行った。
「見えてきたぞ」
と森から抜けた江川はある街を指差していた。
「あれがハームタウンか?」
と江川はドラッグに聞くと、ドラッグは答えた。
「そうッス!」
江川たちからハームタウンまで2㎞ぐらいの距離があり、ずっと下り坂の道だった。
「ここから2㎞と言ったところか……。行こう」
と江川は言うと、江川と二十人くらいのヤクザたちは街に向かって歩き出した。
「うお!上陸したぞ!」
と船から降りた僕はウキウキしていた。
ずっと船にいるのって暇すぎるのだ。
「ただ陸に立っただけじゃろ、それよりも早く情報収集するぞ」
「ウッス!」
と僕は言い、ルークさんと僕はある場所に立ち寄った。
その場所とは、船人が立ち寄るとルークさんが言っている店、っていうか小さな飲食店だ。
「お、ルークさん!久しぶりっス!」
と客席にいた若い男がルークさんに挨拶してきた。
「ホウネルか!お前もいつの間にか大きくなったのぅ……」
「へへへ、今でも漁師続けてるんスか?」
「いや、もう引退した。だがちょっとこいつの旅に付き合っててな、今、この大陸に上陸したんじゃよ」
とルークさんは言いながら、後ろにいる僕を指差した。
「この子が旅をしてるんですか?まだこんな少年なのに……大変ですね」
「仲間探しの旅なんだと。それよりもお前はちゃんと今でも漁師を続けておるのか?」
「はい、今でもバリバリ大漁ッス!」
とホウネルと思われる男は言うと、僕はルークさんに聞いた。
「この人は誰ですか?」
「ワシのかつての弟子じゃ。ワシがこいつに漁を教えてな、昔はこいつとよく海に出てたわい!」
ろルークさんは言うと、ホウネルはルークさんに言った。
「もし、この後もこの街を歩くなら気を付けてくださいね」
「なんでじゃ?」
とルークさんは聞くと、ホウネルは答えた。
「今、この街の住民が夜中に次々と殺されていく事件が発生してるんです。不気味でしょ?自分も夜になれば漁に出ようと思っているんですが、夜の街は物騒で海にしかいられませんよ」
とホウネルは答えると、ルークは答えた。
「大丈夫じゃ!この松田隼人っちゅう奴がその殺人鬼を倒してくれるからの!」
「えぇ!?」
と僕は拒絶反応したが、ホウネルは期待した顔で、
「本当ですか!?」
とキラキラした目で見てきた。
……これはやるしかないのか!?