161話 旅立ちと出会い
何時間も山を下り続け、ようやく僕は小さな町にたどり着いた。
その町にはかつて凄腕の漁師がいたらしいのだが、今はもう引退し、静かに暮らしているというルークさんを僕は探していた。
「元漁師がなんでこんな山のふもとの町で暮らしているんだ?」
と僕はひとり言を言いながら歩いていると、ある音が聞こえた。
グゥ~~
という音が僕の身体中に鳴り響いた。
「あっ、そういえば神話時代に来てからスープしか飲んでねぇよ……。ハァ~、さっさとルークさん探して腹ごしらえしなきゃなぁ……」
と僕は言った瞬間、背後からおじいさんが話しかけてきた。
「ルークとはワシのことだが、何か用かね?」
「え?」
と僕は言い、背後を振り向いた。
そこにはアロハシャツのような服を着て、麦わら帽子をかぶっているナイスガイなおじさまがいた。
い……イメージが……崩れたぜ……。
僕はもう一度、聞いてみた。
「ルークさんですか?」
「だからルークと言っておろう。ワシの名前をさっき言っていたが、何か用か?」
「ちょっと頼みたいことが……」
僕はルークさんの家に上がり、ルークさんに今までのことを話した。
「なに!?未来から来たと!?」
「はい、そして未来から来た仲間たちは皆それぞれバラバラに散ってしまったとヒュウじいさんが言っていました。まず僕たちがこの時代にやってきたスフォルザントを倒すためには、仲間が再び合流しないといけないんです。だから、皆を探すために船が必要なんです!貸してくれませんか!?」
「…………貸してやりたいとこだが、子供一人に船を貸すわけにはいかん……」
「そんな!!」
と僕はがっかりしたとき、ルークさんは自分の胸を叩いて言った。
「ワシもお前の仲間を探す旅に同行しよう。今からすぐに港に行き、船を出すぞ!」
「ありがとうございます!!」
と僕は言い、僕とルークさんは汽車に乗り、ルークさんが若い頃住んでいた街に向かって行った。
そのころ、呪いの森ではラーシと憑依された天真が戦っていた。
「武沢天真!意識を取り戻せ!」
とラーシは言いながら、天真の攻撃を避けるが、天真はラーシに向かって躊躇なく攻撃を続けた。
「無駄だよ!こいつの身体はワタシが乗っ取ったからね!それにアンタも自分の心配をしたほうがいいんじゃない?小悪魔さん!」
と憑依された天真は言うと、ラーシに向かって二体の亡霊が攻撃を仕掛けてきた。
しかし、ラーシは上手く時間停止を使い、亡霊の攻撃を回避した。
「くそっ、霊は日が出ると消えるんじゃないのか!?」
とラーシは言うと、憑依された天真は答えた。
「この呪いの森は通常よりも霊力が増すのよ!ただでは消滅しな……」
と憑依された天真は言うと、いきなり憑依された天真は地面に倒れ込んだ。
「天真……?」
とラーシは聞いたが、天真は倒れたままだった。
天真に憑依した亡霊は気が付くと、真っ黒い空間にいた。
「ここは……どこなの!?」
と亡霊は混乱すると、天真が現れ答えた。
「俺の意識の中だ!」
「なに!?バカな!?憑依した人間が憑依した者を自らの意識の中に閉じ込めるなど!!」
「安心しろ、閉じ込めはしない。ここで黄泉の世界に逝ってもらう!!!!」
と天真は言うと天使化し、戦闘態勢になった。
「この人間がァ!!!!」
と亡霊は怒りだし、天真に向かって攻撃を仕掛けた。