159話 6つの神殿
そのころ、マースさんたちはガンさんが今住んでいる村に到着していた。ガンさんの暮らしている村は大砂漠を抜けた場所にあり、村にはたくさんの住民がいた。
「おかえりガン」
と村の道を歩いているガンさんにたくさんの人がすれ違うと挨拶してくる。ガンさんはこの村では人気者のようだ。
「あれが俺の家だ。少し休んでいくといい」
とガンさんは言い、坂道の上にある木材でできた家を指差した。
ガンさんの家の中はいたって普通の一軒家のようだった。普通すぎる。
「いろいろ君たちと話がしたい。飲み物を出すよ。ソファにでも座ってくれ」
とガンさんは言い、飲み物を用意した。
ソファに遠慮なく座ったマースさんは黒鳥と朱希羅に言った。
「お前たちは“神の扉”に入った時、どこに飛ばされていたんだ?」
「この村の神殿のような場所さ、俺と黒鳥はいつの間にかその神殿の中にいたんだ」
と朱希羅は言うと、ガンさんは飲み物を皆に配りながら言った。
「その神殿は“砂漠の神殿”という神殿だよ。俺が聞いた昔話では、この世には6つの神殿が、一つの目的のために建てられたと聞いた。まぁ、嘘か本当かはわからないけどな……」
とガンさんは言うと、真司はガンさんに聞いた。
「じゃあその“砂漠の神殿”以外に後どういう神殿があるんですか?」
「ん~、俺もあまり覚えていないが……あっ、確かここから西の方角にある遠い場所に……“深緑の神殿”という神殿があったな……」
「“深緑の神殿”……?」
と真司は聞き返した。
一方、どこかの深い森の中の神殿の中に一人の男がいた。
「ここは……神話時代なのか……?」
「わからん……、とりあえずここはどこなのか状況分析するぞ」
と一人の男の背後から小悪魔が現れた。そう、その小悪魔はラーシだった。
「さて、武沢天真。ここはどこだかわかるかい?」
もう一人の男が天真だ。天真とラーシは深い森の中の神殿に飛ばされたのだ。
深い森の中の神殿とはあきらかにガンさんが言っていた“深緑の神殿”のことである。
「どうやらここは建物の中らしいな……出口はどこだ?」
と天真は言うと、ラーシがある方向を指差して言った。
「アレだろ」
「おっ、本当だ」
と天真は言うと、ラーシが指差した方向に歩き出した。
ガチャ……
と神殿の扉を開けると、外は薄暗い森の中だった。
「どこだ……ここ?」
と天真は言うと、ラーシが何かに気付いた。
「……何か来る!!」
「あれは……」
と天真は目を細めて前を見た。すると前から何やら白いものが近づいてきていた。
「なんだ?アレ?」
とラーシは言うと、天真は悲鳴を上げた。
「う……うわああああ!!!!」
するとラーシはその白いものの正体がわかった。白い服を身にまとった三人の女の子が刃物を持って天真たちに向かって走って来ていたのだ。
「何だアレは!!!?に……逃げるぞ!!!」
とさすがに小悪魔もこれには驚き、天真とラーシはその三人の女の子たちから逃げた。
一方、ガンさんの家ではマースさんたちが話を聞いていた。
「その“深緑の神殿”が建設された森は“呪いの森”と言われていて、夜になるとその森に入って来た者たちを死の世界に連れて行くという怪談話があるんだ……」
とガンさんは言うと、真司はボソッと言った。
「俺……幽霊とか苦手なんだよな……」
と真司は言うと、黒鳥は時計を見て言った。
「もう10時か……みんな今頃何をしているんでしょうか……」
「まだ追ってくるぞ!!!」
と真夜中の森の中を天真とラーシは走っていた。
後ろを振り向くと、ずっと遠くから三人の女の子たちが追いかけてきていた。
「クソッ!!こうなったら戦うしかないか!!闘るぞラーシ!!!」
と天真は天使の継承で天使化するとラーシは答えた。
「わ……わかった」
すると三人の女の子たちは真っ黒い目で天真とラーシを睨み、
「ヒャハハハハハハハ!!!!!」
という魔女のような笑い声を上げながら、高速のような速さで遠くから天真の目の前まで飛んできて、天真に刃物を振り下ろした。