157話 井戸の中で
「うわぁ!!本当に水があるぜ!!」
井戸の底にたどり着いたマースさんは喜ぶと、真司も喜んだ。
「本当ですか!?」
真司はロープを使い、少しする井戸の底にたどり着いた。
井戸の底には何個か灯りがあり、井戸の中は洞窟のような場所だった。泉のような水がマースさんと真司の前にあった。
マースさんと真司は無言でその水に食らいついた
「…………プハー!!生き返ったー!!!」
と真司は水を飲んだ後言うと、ある声が聞こえた。
「誰だ!!!!?」
その瞬間、洞窟の奥からカンテラの光が見えてきた。
「まさか、お前ら俺たちを殺しに来たのか!!?」
という男性の声が洞窟の奥から聞こえてきた。お前らとはあきらかにマースさんと真司のことである。
「え?別にそんなつもりは……」
とマースさんは言ったが、その男性は聞く耳を持たなかった。
「返り討ちにしてやる!!!!」
そういう声が聞こえると、洞窟の奥から棍棒を持った男がマースさんと真司に攻撃を仕掛けてきた。
「うわっと!!」
とマースさんはギリギリ棍棒の攻撃を避け、真司はその男から距離を取り、邪神の弓矢を構えた。
するとマースさんが真司に言った。
「まて真司!人間だ!男の人だよ!!」
そう、その棍棒を持っているのはあきらかに人間だった。洞窟にある灯りでその姿を確認することができた。
「何言ってんスか!?こいつは攻撃してきたんスよ!!殺しはしませんが、気絶でもさせないと殴り殺されます!!」
と真司は言い、その男に向かって矢を放った。
「ば……バカ!!」
とマースさんは真司に怒鳴った。棍棒を持った男は矢を避けられなかった。
「うわぁ!!!」
とその男は身を守る姿勢になると、何かが矢を弾いた。
カキィン!!!!
という真司が放った矢と鋼鉄のような物がぶつかり合う音が聞こえてきた。
「弾かれた!!!?」
と真司は言うと、よく姿が見えないが真司と同じくらいの身長の少年が真司にすばやい動きでパンチを放った。
「おわっ!!!」
と真司は言い、そのパンチを避け、少年から距離を取り弓を引き絞り、矢を放とうとした瞬間、真司は驚き、邪神の弓矢を伏せた。
「あ……朱希羅!!?」
「その声は……まさか真司か!!?」
そう、真司の矢を弾き、真司にパンチを放ったのは朱希羅だった。
「あ……マースさんまで!」
と朱希羅は水を飲んでいるマースさんを見て言った。
「朱希羅君……君たち知り合いなのかい?」
「あぁ、さっき話した俺の仲間たちです」
と朱希羅は言うと、洞窟の奥からもう一人、少年が現れた。
「変な物音がしましたが……、誰か来たのですか……?」
その声を聞いた真司は言った。
「黒鳥か!?」
「え……?その声は真司さん!?」
真司の思った通り、洞窟の奥から現れたのは黒鳥だった。
「なんだ、君たちの知り合いだったのか……」
と男は言うと、朱希羅はマースさんに聞いた。
「他の皆は!?」
「他の皆?知らないな……“神の扉”の中に入った後、気が付いたら俺と真司で砂漠のど真ん中にいたからな……」
「そうか……、とりあえず村に戻りましょう。ガンさん」
と朱希羅は言うと、男の人は答えた。
「そうだな、変な誤解をしてすまなかった君たち。俺が昔住んでいた町は死神関係のヤクザによって乗っ取られてしまってね。疑い深くなってしまった……。俺の名はガン。よろしく」
「マースです。よろしくお願いします」
「山田真司です」
と自己紹介を終え、真司と朱希羅とマースさんと黒鳥とガンさんは村に向かって歩き出した。
そのころ、ガンさんが暮らしていた町は今では荒廃した町のようになっていて、ガンさんが言った通り、ヤクザがその町を支配していた。
「おいおい、この家のローンがまだ残ってんだよジジイ!!」
とヤクザの一人のサングラスを付けた金髪の男がその家に住んでいると考えられる老人に言った。
まだその町に住んでいる人もいるのだ。
その町を占拠したヤクザは勝手に一日一万円返済するという掟を作り、その町に住んでいる人から金を巻き上げていた。
なぜ、まだそこに住んでいる人がいると言うと、その町から出たくても出られないのだ。
ガンさんはヤクザが支配する前に町を出ていき、帰って来た時にはヤクザに支配されていて、町の出入りができなかったという……。
「すいません、もう家には金が無くて……!!」
と老人は言うと、金髪のサングラスを付けた人は言った。
「じゃあ、ここで消えろ」
するとそのヤクザは老人に向かって拳銃を構えた。
「ひぃ!!!」
と老人は悲鳴を上げ、身を守る姿勢になるとそのヤクザは誰かに殴り飛ばされた。
「ぐあああああああ!!!!!!!!」
とそのヤクザは殴り飛ばされた後も悲鳴を上げていた。なぜなら燃えていたのだ。灼熱の炎がそのヤクザを燃やし尽くした。
「おい!ヤルスが殺されたぞ!!」
と他のヤクザがその燃やされたヤクザを見て言うと、たくさんのヤクザがある男に向かって拳銃を構えた。
「あのガキがヤルスを!!?」
とヤクザたちは言いながら、その男に向かって拳銃を構えている。
ヤルスとは殴り飛ばされ燃えたヤクザのことだ。
何百という数のヤクザに拳銃を構えられている男は言った。
「ここが神話時代か……、大昔にヤクザがいたなんてな……。驚いたぜ。まぁ、ウォーミングアップにはちょうどいい」
とその男は言いながら、炎獄の素手を構え言った。
そう、その男は江川 隗だった。
「あのガキ、一人で三百人に挑む気か?バカめ!」
とヤクザの一人は言うと、江川は指をクイクイさせ言った。
「来いよ、お前ら全員燃やし尽くしてやる」