154話 謎の棺桶
僕たちは神話時代へとタイムスリップする“神の扉”を開けた。
「……よし、行くぞ」
と僕は言うと、扉の向こうに入って行った。
扉の向こうは万華鏡を覗いたような光景が広がっていた。
「おい、地面が無いぞ!身体が浮いてる!」
と天真は言うと、朱希羅がある方向を指差した。
「おい!アレを見ろ!」
朱希羅が指差した方向には黒い渦のようなものがあった。
「あれは……ブラックホール……?」
とマースさんは言うと、僕たちはそのブラックホールのようなものに吸い込まれた。
「「「「うわあああぁぁぁぁ!!!!!!」」」」
僕たちは悲鳴を上げながらブラックホールの中に吸い込まれていった。
ブラックホールの中に入った後も、まだまだブラックホールの奥に吸い込まれていった。
その勢いでまるで頭が割れそうだった。
「うわあああああぁぁぁぁぁ……」
気が付くと僕は聖堂のような場所で一人で叫んでいた。
そこには僕以外、誰もいなかった。
「ここは……何かの神殿か……?」
そう言いつつ、周りを見渡した。
天井はステンドグラスでできていて、後ろには階段があった。
その階段の先には棺桶があり、その棺桶の周りにはたくさんの鮮やかな花が飾られてあった。
「ここは……誰かの墓なのか?エジプトでいうピラミッドみたいな建物か……」
と僕は言いつつ、階段を上り棺桶を見た。
棺桶には鎖とか鍵とかいう物は何も無く、いつでもパカッと開けられる状態だった。
「……気になるな、この棺桶。開けてみるか」
と僕は言い、棺桶を開けた。
「なっ……なに!!?」
と僕は思わず声を出してしまった。その棺桶には何も入っていないのだ。
「何にもねぇ……じゃあこの棺桶は一体……」
と僕は言いながら棺桶を調べていると、棺桶のフタの内側に何か文字が刻まれていることに気が付いた。
「これは……!!に……日本語だ!!」
と僕は驚き、その棺桶のフタの内側に刻まれた日本語を音読した。
「え……と……、ボロボロで読めない字があるな……。う……んと、“最後の……かい……天……の……力を……”?とにかくメモっとくか」
と僕は言い、その意味不明な文章をメモした。
そのとき、
「誰じゃ!!!!?」
という老人の声が聖堂の入り口から聞こえてきた。
「墓を荒らすとは罰当たりな!!さっさとその棺桶から離れなさい!!」
「え?この棺桶、何も入ってませんが?」
と僕は言うと、その老人は怒鳴った。
「いいから階段を下りてこっちに来なさい!!」
と老人は言うと、僕は大人しく階段を下りて行った。
「あの~、ここはどこなんですか!?」
と僕は聞くと、その老人は答えた。
「何じゃ?貴様は何者じゃ!?」
「お……俺、“神の扉”を入ってここに来たんです。ここはどこだがおしえてくれませんか?」
「詳しいことはワシの家でおしえてやる。ついて来い」
と老人は言うと、その聖堂の出口へ向かった。僕はその老人について行くことにした。