151話 決戦の舞台へと……
「しかしこのヘリ、エベレストに着く前にガス欠したりしないのか?」
と真司は江川に言うと江川は答えた。
「大丈夫です。三台のヘリにはそれぞれ黒い箱が設置されてあって、もしもガス欠しそうになった場合、人間界に誰かが戻り、燃料を持って来ればいいだけですから」
「大変なことを言うな……お前……」
と真司は言い、窓の景色を見た。空は紫色で、雲一つ無かった。
江川は紫色の空を見ながら、三日前、病室を出て行ったときのことを思い出した。
---三日前、病室を退室したときの江川---
江川は誰もいない病院の廊下を一人で歩いていた。
「どうしたの隗?」
とルリが後からついてきた。江川は黙りながら少し歩いた後、廊下の壁を思いっきり殴った。
ダァン!!という音がその廊下に鳴り響いた。
「……歯が立たなかった。矢崎 閻には何も太刀打ちできなかった……。攻撃が通じないとわかったとき、何もできなかった……。何もすることができなかったんだ……」
「なら、強くなればいいじゃない。隗」
「ルリ……簡単に言ってくれるが、そんな簡単な問題じゃないんだ……」
「簡単じゃないよ。この前の隗はあの男には全く歯が立たなかった。でもここで諦めるのはアタシが知ってる隗じゃないよ!隗はどんな時も冷静で、どんな時も諦めないで、どんな時も負けず嫌いだった!なのにここで諦めるなんて隗じゃないよ!」
「ルリ……わかった。この三日間で強くなるためには、強い人の指導が必要だ。誰か心当たりはいないか?ルリ」
「うん、いるよ!紹介するね!」
---回想終わり---
(そして俺は強くなった。師匠から伝授してもらった技と、授かった悪魔武器を使いこなした。その力で、今度こそお前を倒す!矢崎 閻!!)
と江川は思っていた。
何時間か経った頃、僕はあるものを指差した。
「あれだ!きっとあれだ!」
そう、三台のヘリコプターの前にあったのはエベレスト山だった。
「ついに来たな……」
と真司は言うと、僕たちはエベレスト山の頂上に近い場所にヘリコプターを着陸させた。
ついでに操縦していたのは操縦経験のあるマースさんとセレシアと江川だった。
僕たちは山の頂上にたどり着いた。
「ついたぞ、皆!」
と僕は言うと、頂上には本当に大きな神殿が建設されていた。
「……入るぞ」
と僕は言い、その神殿の扉を開けた。
神殿の中は教会のような場所で、床には大きな紋章が刻まれていた。
「よく来てくれた。三代目悪魔王、松田隼人君」
という声がすると、アルべラム大臣が神殿の奥の部屋から現れた。
「アルべラム大臣!仕事とはなんだ!?」
「そうだな、簡単に言えば……魔神に選ばれし三悪魔君に手伝ってもらいたい」
とアルべラム大臣は言うと、デリットがアルべラムアルべラム大臣に言った。
「やはり目的は俺たち関係か!!なんだ!?魔神でも復活させる気か!?」
するとある声がその神殿に響き渡った。
「大人しく言うことを聞いてくれないか?」
「だ……誰だ!?」
とラーシは言うと、神殿の奥の部屋から矢崎 閻とデューラと正体不明の男が現れた。その男は全身を黒いコートで隠していて、フードをかぶっているため、顔を見ることができなかった。
その正体不明の黒コートの男は僕に言った。
「松田隼人。ワタシがすべての黒幕、“最強の魔術師”を封印した者……スフォルザントだ」
ついに目の前に黒幕が現れた!!