148話 試験終了
《悪魔王選出試験 決定戦終了。勝者は松田隼人です。よって三代目悪魔王候補は松田隼人です》
「終わった……」
と僕は言い、悪魔化が解けた。
ステージ外でも皆が6体の死神を全滅させていた。
「ハァ……ハァ……久々に暴れたぜ……」
と聖弥は言うと、康彦が天真をおぶっていた。
「天真は大丈夫なのか?康彦」
ボロボロな聖弥は康彦に聞くと、康彦は答えた。
「今は気を失っているだけだ。敵はかなりのやり手だったらしいな……。一体誰と戦ったんだ?」
するとセレシアはある方向を指差して言った。
「あの男なら知ってそうだぞ」
「ん?」
と聖弥は言い、康彦はその指差した方向を見ると、そこにはボロボロな姿になった江川とルリがいた。
江川は朱希羅を肩組んで起き上がらせた。朱希羅も気を失っていた。
「大丈夫なの隗!?隗だってフラフラじゃない!!」
江川は自分の足を見た。ぶるぶる震えていた。まるで振動が地面に響くように震えていたのだ。
「くっ……」
と江川は言い、朱希羅と共に地面に倒れ込む瞬間、マースさんが江川を抑え、黒鳥が朱希羅を抑えた。
「大丈夫か?江川……だっけ?」
とマースさんは言うと、江川は意識が消える寸前の声で言った。
「すいません……」
すると江川は気を失ってしまった。
「仕方ない。黒鳥、こいつらを病院まで運ぶぞ」
「病院って人間界のですか?」
「そうだ」
とマースさんは言うと、黒鳥はポケットサイズの黒い箱を取り出した。
「待ってくれ、天真も連れて行ってくれないか?」
と康彦たちがマースさんに言った。
「わかった。……ん?真司は?」
とマースさんは言い、辺りを見渡すと、聖弥が真司を肩組んで起き上がらせていた。
「さぁ、いこうぜ。ここは落ち着かねぇからな」
と聖弥は言うと、マースさんは箱のフタを開け言った。
「先に人間界の病院行ってるぞ隼人!」
とマースさんはステージ上に建っている僕に言うと、僕は返事を返した。
「わかりました。すぐに俺も行きます!」
するとマースさんたちは消えてしまった。人間界に転送されたのだ。
僕はずっとステージ上で立ち続けていた。
「死神が来ない……。カルラは味方だからか……?」
すると3つのどす黒い光がステージ上に落ちてきた。
「なっ!?まさか!?」
と僕は言うと、そこに現れたのは三体の死神だった。
「「「我々は死神。敗者を殺しに来た」」」
と死神は言うと、ステージ上に倒れているカルラに向かって容赦なく鎌を振り下ろした。
「な……仲間じゃなかったのか……?」
と僕は死神に聞くと、死神は答えた。
「敗者は敗者。我々の仲間であろうが敗者を殺すのが我々の仕事」
と三体の死神は言うと、消えてしまった。
《おめでとう松田隼人君》
という放送が流れると、アルべラム大臣とデューラが放送室からスタジアムのフィールドに現れた。もはやスタジアムには僕とアルべラム大臣とデューラ以外誰もいなかった。
「これから君に大事な報告をする。三代目悪魔王の初仕事だ」
とアルべラム大臣は言うと、僕はアルべラム大臣を睨み言った。
「お前達は仲間じゃなかったのか?カルラを悪魔王にして、悪魔界を手中に収めようとしたんじゃないのか?」
と僕はアルべラム大臣に聞くと、アルべラム大臣は答えた。
「ちがう。そんなことより、もっと重要な話をしたい。聞いてくれるか?松田隼人君」
「……いいだろう、話せ」
僕はそう言った。