138話 悪魔王決定戦 開会式
悪魔王決定戦当日。僕は地獄の戦場スタジアムの控室で準備していた。
(必ず……この試合で勝って、悪魔王になって、アルべラム大臣を悪い悪魔と証拠を上げて、アルべラム大臣を死刑台に送ってやる!!)
と僕は思っていると、放送が流れた。
《悪魔王候補の松田隼人選手、カルラ選手。開会式の時間です。入場準備をしてください》
「よし、行くか」
と僕は言い控室を出たとき、ちょうどとなりの控室からカルラが出てきた。
「あっ、松田隼人さん」
とカルラが僕に言った。僕はカルラを見て言った。
「……名前はカルラでしたっけ?」
「はい。カルラです。隼人さん、生き残った悪魔王候補としてお互い全力を尽くしましょう!」
「あぁ、できればこんな戦いしたくは無いが……」
「そうですね。敗者はきっとまた殺されるでしょう……死神によって……」
とカルラは言うと、僕はカルラに言った。
「だけど俺は大切な人のために戦う。だから、容赦しないぞカルラ」
「はい、こちらも全力で戦います」
とカルラは言い、僕たちはスタジアムのフィールドへの入り口に向かって歩き出した。
「隼人。大丈夫かなぁ……」
と客席にいる朱希羅は言っていると、ラーシが朱希羅のとなりの席に座り言った。
「きっと松田隼人は大丈夫さ。強いしね」
「ラーシ!」
と朱希羅は言うと、ラーシのとなりの席にはデリットとレアル、顔面崩壊の悪魔に江川やルリがいた。
「ねぇ、隗!隗と同じ人間がいるよ」
とルリが朱希羅を指差して言った。
「あぁ、初めまして。松田の同級生の江川 隗です」
と江川は朱希羅に自己紹介すると、朱希羅が江川に自己紹介した。
「隼人の友達の矢崎朱希羅です。よろしくお願いします……」
と朱希羅は言うと、朱希羅と江川は握手した。
「あ~!!なんで朱希羅がここに!!?」
という声が朱希羅の後ろの席から聞こえた。朱希羅は振り向くとそこにいたのは僕の親友の山田真司と大学生のマースさんと長野のお寺に住む黒鳥鉄尾だった。
「お…お前ら!来てたのか!」
と朱希羅は言うと、真司が説明した。
「あぁ、黒鳥がキルビスさんから悪魔王決定戦のことについて聞いたらしく、それを俺とマースさんに知らせてくれたっていうことだ。しっかしまぁ、驚いたわ。まさか隼人が悪魔王候補なんてよ」
「あぁ、ついでに言うと俺もだがな」
「お前らも色々と大変だったんだな……話は黒鳥から聞いたよ。死神だっけ?」
「なんで黒鳥が死神を知っている?」
と朱希羅は聞くと、黒鳥が答えた。
「隼人さんが俺たちの寺に来たんです。そのときに色々聞きました」
「そうか。なぜ本選のとき来なかったんだ?」
「なんか予選と本選は関係者以外スタジアムに立ち入り禁止だったからな……。行きたかったけど行けなかったんだ……」
とマースさんが朱希羅に言った。
「うわぁ、人間がいっぱい……」
とルリが独り言を言っていた。そのとき放送が流れた。
《お持たせしました。これより悪魔王選出試験 悪魔王決定戦の開会式を始めます》
という放送が流れるとアルべラム大臣がスタジアムのスクリーンに映り、スタジアムのフィールドのど真ん中にアルべラム大臣がマイクを持って立っていた。
《では悪魔王決定戦に進出した二人の悪魔王候補を紹介しましょう》
とアルべラム大臣は言うと、僕とカルラはスタジアムのフィールドに入場した。
「来たァー!!!!隼人だ!!!」
と真司は叫び、他の観客もテンション高く歓声がスタジアム中に鳴り響いた。
《まず一人目を紹介しましょう。松田隼人。人間ですが戦闘では悪魔並みの強さを誇ります》
とアルべラム大臣はマイクを持って言うと、僕は思った。
(そりゃあ悪魔の継承で悪魔化してるからなぁ……)
《対する二人目はカルラ。ずば抜けた戦闘センスと知能を極めた天才です》
とアルべラム大臣は言うと、スタジアムのフィールドに本選のときよりも面積が大きいステージが現れた。
《では戦いのルール説明をしましょう。悪魔王候補の二人には今現れたこのステージの上で戦ってもらいます。なお、ステージを囲むガラス製の壁が設置されているため場外の心配はありません。どちらかが気絶、膝をついて10秒以内に立ち上がることができなければ戦闘終了です。もし死んだりしてもそこで戦闘終了になり悪魔王決定とします。こちらは責任を負いません》
「な…なんちゅう試験だ……」
と真司は言うと、朱希羅は真司に言った。
「こういうものだ。悪魔王選出試験は……」
《もし悪魔王候補が同時に気絶したり、引き分けとなった場合、審査委員のデューラ・フォン・シュタインの判断により悪魔王を選出します》
とアルべラム大臣は言うと、スタジアムの端っこからデューラがフィールドのど真ん中に向かって歩き出した。
「あの子供の悪魔が審査委員だと!?」
とマースさんは言った。そう、デューラの見た目はただの少年悪魔なのだ。
《では悪魔王候補の二名。戦闘準備をしてください》
とアルべラム大臣は言うと、僕は思った。
(敗者は殺さないのか……?)
それは朱希羅も同じだった。
「なぜだ……?まさか……この試験でアルべラム大臣は何かするつもりか……!!?」
僕は疑問に思いながらステージの上に立った。目の前にいるカルラは準備運動していた。
「棄権するなら今の内ですよ。隼人さん」
「棄権はしねぇよ。死神によって死ぬかどうかの危険は覚悟している!」
「ハハハッ、ダジャレですか?余裕ですね」
「あぁ、本当のこと言うと死神によって殺されるか殺されないかの心配なんて、しなくてもいいんだけどな!」
「勝つ気満々ですね?一体その自信はどこから?」
とカルラは言うと、僕は悪魔化し答えた。
「絶対負けてられない。という覚悟からだ!!!」
すると放送が流れた。
《悪魔王最終選出試験 悪魔王決定戦 戦闘開始!》