137話 残酷なもの
「どうやら松田が魔神に選ばれし三悪魔に関係しているというのは本当らしいな……」
と江川が僕に言うと、ラーシが江川に言った。
「レアルの呪憎裏はこの松田隼人かもしれないよ……。まぁ、あくまで“かも”だが……」
「いいだろう。俺とルリが知っている情報を全て話そう……」
と江川は言うと、僕たちはボロいベッドに座った。すると江川が顔面崩壊の悪魔に言った。
「すみませんが悪魔のお医者さん。席を外してください」
「あぁ、ワシ。はいよ」
と顔面崩壊の悪魔は言い、部屋を出て行った。
「まず、魔神に選ばれし三悪魔とは100年に一度、三つあるキーワードの内一つずつ当てはまる三人の悪魔のことをいう。その三つのキーワードに当てはまった三人は成長を停止され、あることをしなければ永遠に成長しなくなる」
「あること……」
「そう、その者の呪憎裏を解くことだ。呪憎裏とは表向きでは魔神に選ばれし三悪魔が魔神とした契約……とされているが、実際は契約というよりも成長の封印という方が正しい」
と江川が言うと、デリットは思った。
(この江川 隗という男……よく魔神に選ばれし三悪魔のことを理解している……)
すると僕は質問した。
「レアルは自分の呪憎裏は解けないと言っていた……。解いてしまったらレアルの中に封印された魔神が復活するって……」
「魔神が復活……?そんなことあるわけないじゃん!」
とルリは答えると、江川が説明した。
「魔神というのは魔神に選ばれし三悪魔の三人が自らの血を垂れ流し、封印式を書き、ある紋章を刻まなければ現れない。レアルの呪憎裏を解いたとしても現れることはない」
「そんな……レアルは何か勘違いしてるのか……?」
と僕は言うと、ラーシが答えた。
「いや、レアルは自分の呪憎裏を解きたくないから嘘をついたのかもしれない」
「解きたくないだと?」
「呪憎裏の解き方は自分と同じキーワードに当てはまる人間を見つけ出して、その人間に触れてもらえばいい」
「なんで解きたくないんだ……?」
「わからないのか?レアルと同じキーワードに当てはまる人間というのは、呪われた人間っていう意味だ。呪われた人間なんてなかなかいない。ひょっとしたら存在しないのかもしれないしな……。レアルはお前にお前が呪われればアタシの呪いは解ける。なんて言いたくなかったのかもしれないな」
とラーシは言うと、僕はラーシに聞いた。
「つまり、レアルの呪いを解くには俺が呪われればいいのか……?」
「そういうことだ。だが、呪いというのは残酷なものしかない。僕が知っている情報では一番楽な呪いは人間を怪物にする呪いだ。その呪いは永遠に解けない。その他にも呪いはあるが人間の身体では98%死ぬ。まぁその分、呪いの内容は楽だがな」
とラーシは言うと、僕は聞いた。
「一体どんな呪いだ!?おしえてくれ!」
「ダメだ」
と江川が僕に言った。僕はベッドから立ち上がり言った。
「俺はレアルの呪憎裏を解きたいんだ!!」
「……ッ!!!!」
とルリの表情が変わった。江川は僕に言った。
「自分の呪憎裏を解くために犠牲が出て嬉しいと思うか!?あの呪われし小悪魔がそれを知ったらどういう思いをするのかわかっているのか!?」
「……ゴメン、江川……」
と僕は言い、ベッドに座ったときルリが僕を見て思った。
(松田隼人……。似てる……カルラの呪憎裏の鍵となった人間に……)
「話を戻そう。呪憎裏の鍵となった人間はその魔神に選ばれし三悪魔の能力を得ることができる」
「能力を得る……!?」
とラーシとデリットは言うと、江川は二人の小悪魔に言った。
「やはりこの情報は今の魔神に選ばれし三悪魔は知らないか……」
「じゃあ江川はルリの能力、読心の能力を持っているということか?」
「あぁ、だからさっき学校の屋上で松田が俺たちに嘘をついているか、ついていないかを判断することができた」
「松田隼人……最後に言っとくけど、レアルの呪いを解くのはやめときな。じゃないと後悔するわよ」
とルリが僕に言うと、僕は答えた。
「考えさせてくれ」
そして、数日後。ついに悪魔王決定戦の日がやってきた……!!