134話 本選閉会式
僕とカルラはアルべラム大臣とデューラが立っているステージの上に立った。
《この二名が悪魔王決定戦に進出された悪魔王候補だ》
とアルべラム大臣は言うと、僕とカルラを指差した。
(……見た目はただの人間か。だが戦闘になると隠された力を発揮する面白い人間だ……松田隼人)
とデューラは僕を見て思っていると、今度はカルラを見て思った。
(対するカルラも戦闘力だけでなく、知能も優れた天才。悪魔王決定戦…これは楽しみだ…)
《悪魔王決定戦の開催場所はここ地獄の戦場スタジアム。三日後の予定だ。進出できなかった候補たちは決定戦をぜひ観戦しに来てほしい》
とアルべラム大臣はマイクで放送すると、デューラがマイクを持ち、進出できなかった悪魔王候補たちに言った。
《この進出できなかった悪魔王候補の中から3名。次期幹部として任命する》
とデューラは言うと、悪魔王候補たちは言った。
「次期幹部!?次期幹部もこの悪魔王選出試験から決まるのか!!」
するとデューラは発表した。
《エントリーナンバー1番 矢崎朱希羅。エントリーナンバー5番 フィラクス。エントリーナンバー11番 ライだ》
とデューラは言うと、アルべラム大臣がマイクを持ち言った。
《では、これにて悪魔王選出試験 本選を終了する》
そして悪魔王選出試験 本選は終了した。
「矢崎朱希羅。話がある」
と閉会式が終わった後、デューラが朱希羅に話しかけた。
「……なんですか?」
「あなたは悪魔王候補ではありますがあくまで人間。人間には人間の生活がある。あなたに悪魔幹部を務める覚悟がありますか?悪魔幹部とは悪魔王を守る存在で、いざとなれば己の命を捨ててでも悪魔王を守る仕事……。今ならまだ間に合います。次期悪魔幹部を矢崎朱希羅から他の候補に変更することができます」
「確かに…悪魔幹部に任命されたのは光栄です。しかし俺はあなたの言う通り人間だ。俺にはこの仕事はできません」
「わかりました」
「ですが、三代目悪魔王が誕生したら俺は人間だけど、悪魔幹部じゃないけどできるだけ悪魔王を守りたいです」
「……わかりました」
とデューラは言うと、「では」と言い、立ち去ってしまった。
僕はその後、人間界の自分の部屋に戻りベッドの上で寝てしまった。
その翌朝、僕は学校があるので制服に着換え、僕が通う嵐流高校にバスで登校した。
「この問題。わかる人?」
と先生が黒板に書いてある問題を指差して生徒に聞いた。今は授業中である。
「はい」
と一人のロン毛で眼鏡をかけている生徒が手を上げた。
「おっ、じゃあ江川」
と先生はそのロン毛で眼鏡をかけた生徒を見て言うと、その江川と思われらしき生徒は答えた。僕にはあまりその答えがよく理解できなかった。
「おみごと。さすが学年トップクラスだな」
と先生は江川と思われる生徒を褒めると、また次の問題を出してきた。
時は進み今は休憩時間。僕はため息を尽きながら椅子に深く座ると、江川と思われる生徒が僕の前に現れた。
「……何か用ですか?」
と僕は敬語で話しかけると、江川は答えた。
「君が、悪魔王決定戦に進出する一人か…」
「……ッ!!!」
と僕はその言葉を聞いたとき、呼吸が少し途切れてしまった。この江川という生徒は悪魔王選出試験のことを知っているのだ。
この江川という生徒は何者なのか…?