132話 死神との会話
ステージの壁に殴り飛ばされた本物のヤウルは気絶してしまった。それと同時にスタジアムを包んでいた大量の目玉の結界が崩れだし、ヤウルの幻眼の指輪の中に大量の目玉が入っていった。
「…フゥ」
と僕はため息を尽きながら鬼神化が解け、悪魔化も解けた。
《戦闘終了。ヤウルが気絶したため、第15回戦の勝者は松田隼人です》
という放送が流れると、客席にいた朱希羅は喜んだ。
「よし!やっぱり隼人が勝った!」
「なかなか強いですね…彼は…」
とカルラは言うと、朱希羅はカルラに言った。
「でしょ?彼は僕以上に強いんですよ!」
「あのピンチな状況の中、冷静な分析によって得られた勝利だな…」
とアルべラム大臣がデューラに言うと、デューラは答えた。
「ですね。悪魔王決定戦が楽しみになりましたよ…」
とデューラは言うと、ステージに3つのどす黒い光が落ちてきた。
「来た…!!」
と僕は言った。ステージに現れたのは死神だった。敗者であるヤウルを殺しに来たのだ。
「「「我々は敗者を殺しに来た」」」
と三体の死神は言うと、僕はヤウルの前に立った。
「おしえろ死神!!なぜ敗者を殺すんだ!?」
「邪魔をするな」
と三体の内の一体の死神は言うと、もう一体の死神は答えた。
「我々の仕事だからだ。もう一度言う。邪魔をするな。さもないと貴様も殺すぞ」
と一体の死神は言うと、僕は下がった。すると三体の死神は倒れているヤウルの首を斬り、身体から魂のようなものを取り出した。
「それをどうするつもりだ!!?」
と僕は魂のようなものを持っている死神に聞くと、死神は答えた。
「お前が悪魔王決定戦に勝ち上がり、悪魔王になった時わかる」
「悪魔王になったとき…この試験を勝ち進めばわかるのか…!?」
と僕は聞き返すと、三体の死神は消えてしまった。
《第16回戦はカムンVSアランドです》
という放送が流れると、僕はステージから降り、客席に向かって歩き出した。
僕はさっき座っていた客席に座ろうとしたが、そこにはカルラが座っていた。
「あなたは…」
と僕は言うと、カルラが自己紹介した。
「ワタシの名前はカルラです。あなたの試合のとき朱希羅さんと知り合いました。よろしくお願いします。あっ、この席あなたが座ってましたか?」
「いや、大丈夫です!はい…」
と僕は言い、カルラのとなりの席に座った。朱希羅が僕に言った。
「すごかったじゃないか隼人!それにしても死神と何を話していたんだ?」
と朱希羅は聞くと、カルラの表情は変わり、僕を見つめた。僕は答えた。
「いろいろさ。後で話すよ…」
と僕は言い、16回戦は死神のことばかり考えていた。