130話 冷静な戦い
「残り14体…」
と僕は14体のヤウルを睨み言った。
「いやですね…そんな鬼のような目で睨まないで下さいよ…」
「……ずいぶん余裕だな」
と僕は言うと、観客にいた悪魔がいきなり言った。
「…やっぱあの分身って…あの悪魔武器じゃないのか?」
「悪魔武器?」
「あぁ…分身の眼鏡っていう悪魔武器じゃないのか…!?」
と客席にいた悪魔はヤウルの眼鏡を指差した。
「確かに…そうかもしれないな!」
と他の客席にいた悪魔は言うと、14体のうちの一人のヤウルが僕に説明した。
「そうです。この眼鏡がワタシの分身を創りだしたのです」
「で?その眼鏡は分身を創りだすだけか?」
と僕はヤウルに聞くと、ヤウルは答えた。
「はい。そうです」
「……本当だな?」
「ワタシを疑っているんですか?」
「分身を創りだすだけの悪魔武器だけで本選まで勝ち上がったとはどうも思えない…。他にも悪魔武器があるんじゃないのか?」
「…………勘が良いですね」
「やはりそうか…」
と僕は言うと、一人のヤウルを高速で移動し殴り飛ばし言った。
「残り13体…!!」
「松田隼人…なかなか…。戦いながら相手をよく分析していますね…」
とデューラがアルべラム大臣に言うと、アルべラム大臣は答えた。
「負けたら死ぬというルールの中、戦闘でも冷静な判断力、そして悪魔化したことによって研ぎ澄まされた感覚のキレ…これが彼の強さなのだよ…」
「しかし、ヤウルも冷静なのは確かです…。この勝負…なかなか面白い…。この勝負の決め手はどちらが先に仕掛けるか…ですね」
とデューラは言い、アルべラム大臣とデューラは黙り込んで観戦した。
(仕方ない…ここはリスクが少ない鬼神化で…終わらせる!)
と僕は思いながら、両手を合わせた。
「………やるなら今でしょうかねぇ?」
とヤウルは言うと、ヤウルの指輪が黒く光りだした。
「………ッ!!!」
とアルべラム大臣はその指輪の光に反応した。
するとヤウルの指輪から大量の巨大な目玉が飛び出し、大量の目玉がスタジアムを包み込んだ。
「なんだあの目玉は!?俺たちは閉じ込められたのか!?」
と客席にいる悪魔は言うと、アルべラム大臣はデューラに言った。
「これは…幻眼の指輪の幻覚結界…」
「知っているのですか?」
とデューラがアルべラム大臣に聞くと、アルべラム大臣は答えた。
「ワタシも持っているからな…」
「なるほど、悪魔界には同じ悪魔武器が最大で3つあると言われてますからね…。きっとヤウルが持っている幻眼の指輪は二つ目の幻眼の指輪でしょう…。まぁ、最大3つと言っても三大悪魔武器は別で、どれも一つしかありませんが…」
「…問題は松田隼人がヤウルを倒すには、スタジアム全体に張られた幻覚結界をどうにかせねばいけないな…」
とアルべラム大臣は言うと、ヤウルは僕に言った。
「この結界の中にいる者はワタシが創りだす恐怖を体感するのです。そして13体のワタクシたちは姿を消し、松田隼人さんを集中狙い…幻覚による攻撃と13体の攻撃を…防ぐことができますか?」
とヤウルの声がスタジアム中に鳴り響くと、13体のヤウルは姿を消した。それと同時に僕は荒々しいオーラに包まれ、鬼神化した。
「いつでも来い、俺はもう準備はできてるぜ」
と鬼神化した僕は言い、戦闘態勢になった。